ミシュラン2つ星も獲得した、銀座の有名すし店「鮨 水谷」が、中国人の予約を拒否したとする報道で、日本のSNS上だけではなく、海外でも引用されて報道されるなど大きな論争となっている。外国人だから予約を断ったという行為を否定する論と、一方で、予約を遠慮なくドタキャンする中国人富裕層の存在するという論が、インターネット上で激しくぶつかっている。
◆日刊ゲンダイ電子版◆によると、在日30年の中国人ジャーナリスト莫邦富氏が予約を取ろうと、日本人秘書が電話で問い合わせるところから始まる。席が空いているという返事だったが、外国人であることがわかると、頑なになっていったという。
日本への外国人観光客は2013年に初めて1000万人を突破し、昨年は過去最高の1341万人となった(観光庁調べ)。「鮨 水谷」をはじめ多くの高級店でも外国人客は増えているが、こうしたトラブルも今後は増えていくことだろう。莫氏は自身の◆フェイスブック◆で「その差別的対応を受けたのは私でしたが、来日30年、初めての経験だ。しかも、相手はミシュラン2星の
『鮨 水谷』なのだ」とコメントしている。
莫氏の発言であったということで、その影響力から海外メディアも取り上げるまでになった。単純にこれは差別であるとする意見が賛成派からは多かった。
一方で、ドタキャンで金を支払うという習慣がない中国人富裕層が多いという意見があり、もてなすための入念な準備がすべて無駄になるという店側の努力を無にする上に、金も取れないという点を憂慮する意見も。もちろん、水谷も痛い目に遭った経験があることは推測はできる。
こうした論争になる背景には、ミシュランで星を獲得するということがある。飲食店の世界評価基準の一つでもあり、嫌が上にもこれまで以上に外国人の相手をしなければならなくなる。
店の権利か、客の権利か。アーティストのGACKTさんが、パリのホテルのビュッフェで、一度着席した眺望の良い席から離れるように告げられ、後でそこには白人が着席したことをブログで公表し、「誰がマナーがまもれて、誰がマナーがなってないなんて、瞬時にわかるわけがない」と一定の理解は示してもいる。高級飲食店での人種間を巡るニュースは今後も多く出てくるだろう。