富裕層ほど見るべきマイナンバー制度の「マイポータル」

 マイナンバー制度が日本国内の住民票がある人に対して振り分けられるが、富裕層や資産家にとっては特に自分自身の資産がどのくらい正確に把握されているのか、より気になる所だ。米国では「なりすまし」も横行していたり、あるいは、誤入力のケースで資産の過多・過少もあり得るなど不安も残る。自分の情報を自分で見ることができないのか、との漠然として不安を抱いている人もいるようだが、「マイポータル」というシステムで自分で見ることも可能だ。


 マイナンバーは2016年から施行され、今年の10月からそれぞれの人に番号の通知が始まる。来年1月から制度開始にも関わらず、そもそも、何かがわかっていない人や、無関心の人も多いことだろう。

 この制度は国民の資産や所得なども把握され納税だけにかぎらず、今後は保険、医療など福祉サービス分野にも使用範囲を拡大されていく。内閣府の経済諮問会議でも、マイナンバーの活用を前提に、金融資産などの保有状況も考慮して医療費の負担能力を判定する仕組みに転換するなどの意見も出されている。

 当然ながらかなり重要な情報であるということが分かるが、自分の情報は、情報保有機関に対して書面による開示請求を行うことができる。マイポータルは、個人情報カードと、パスワードを使って、個人認証を行うことで、情報開示を受けることができる。

 自分の情報は、一度は自分の目で見て知っておきたいのは当然だろう。社会保障の状況、さらには資産の状況が誤記入されていた場合は、あらぬ疑いを持たれる可能性もないわけではなかろう。また、正しくない情報が掲載され、社会保障で正当な受給が行われないなど損失をこうむる可能性もありえる。

 一度は見ておくべきだが、閲覧するマイポータルの制度開始は2017年から。つまり、マイナンバー制度開始から1年遅れとなるのだ。それで間違いを発見した場合には、どこにどのような請求をすれば良いのか、政府機関の公式な発表はまだなく、新しい決定を待つしかない。

 マイナンバー制度をいち早く導入している米国では、特に民間使用に制限がなく、銀行、携帯電話、電気、ガスなどの顧客管理にも使われている。2006年から2008年までの3年間で、なりすまし被害者は1170万人。損害額の総額は約5兆円になるという。もちろん、日本は制度開始当初は公的利用に限定されており、民間利用はないという違いはある。

 しかし、特に資産額が大きい人ほど、マイナンバーで自分の情報を一度はチェックしておく必要性が高いだろう。

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