米国の低所得者向けの公営住宅に、年収基準をオーバーしてしている入居者が2万5226世帯に上ることが、監査報告によって明らかになった。中には資産160万ドルの富裕層が1月の賃料300ドルの住宅に住んでいた例も見つかった。
特にニューイングランド州オックスフォードの家賃300ドルの公営住宅では極端な例が見受けられた。保有資産約160万ドル(株式62万ドル、不動産47万ドル、現預金33万ドルなど)、年収6万円5000ドルに対して、入居に際しての年収上限の基準は3万3500ドルだった。2010年から2014年まで住んでいた。他にはニューヨーク市では、2009年から2013年までの間に不動産投資による79万ドルの収入があったものの、同期中には入居していた例もあった。
年収基準の上限をオーバーしている世帯で、その金額が9万ドル以上(約1116万円)に上るのは288世帯もあるなど、高所得者も意外に多い。
世帯数 割合(%)
1万ドル以上 1万3388 53
1万~3万ドル 8172 33
3万~5万ドル 2293 9
5万~7万ドル 792 3
7万~9万ドル 293 1
9万ドル以上 288 1
また、入居期間で見ると次のようになる。入居期間は多岐にわたっているが、9年以上という長期間に及ぶ世帯も1242件で全体の5%に上る。
1年以上 7465世帯(30%)
1~2年 5827世帯(23%)
3~4年 3435世帯(13%)
5~6年 3515世帯(14%)
7~8年 3742世帯(15%)
9年以上 1242世帯(5%)
監査では関係当局に対して、厳格な審査と立ち退き要請を求めている。
一方、日本でも、こうしたことがなかったわけでもない。ゆかしメディアでは過去に年収2450万円なのに都営住宅のナゾとして取り上げているが、このケースでは、多摩地区の3DK(家賃1月9万円)に5年以上住んでおり、当初は入居基準を満たしていたが直近では年収が2000万円を超えたために退去したという。
いずれにせよ、日本では珍しいようで、基本的に日本の富裕層や高所得者は、やはり規範意識が高いということだろう。