海外法人設立の穴場としてミクロネシア連邦が知る人ぞ知る穴場として注目されている。タックスヘイブンではないために、トリガー税率に引っ掛からない「緩い節税」ができる上に、日本国内でも手続きが可能で、加えて日本円での納税ができるというまさに「日本人富裕層ウエルカム」を具現化したかのような税制が敷かれている。
週刊ダイヤモンド10月24日号に、再保険会社を同地で設立した男性の例が紹介されている。
一般的に節税目的の海外子会社と言えば、タックスヘイブン国。近年ではとりわけ日本に近い、香港やシンガポール、さらにはマン島などがあった。かつてはリヒテンシュタインやフクセンブルク、スイスなども人気があった。ただ、これらの国はほとんどが租税協定が締結されており、税務情報を国同士で定期的に交換し合うという、まさに情報の筒抜けが行われるような整備がなされた。
また、5000万円以上の海外資産を自己申告する「国外財産調書」、有価証券を対象に未実現の含み益に課税する「出国税」、年収2000万円以上、保有資産3億円以上などの富裕層に財産の申告を求める「財産債務調書」と次々に対策を打たれており、なかなか有効な手だてがなくなってきているのも事実だ。
ミクロネシア連邦はパプアニューギニアの北に位置し、かつては日本が統治したこともある。人口は約12万人程度の島嶼国で、現在は日系人も多く親日だということもあるのか、日本の富裕層にとってはかなり有利な取り計らいが行われていると言えなくもない。
日本のタックスヘイブン税制は法人税20%以下と定義付けをしている。ただ、ミクロネシアは21%と絶妙なラインに設定している。これは、トリガー税率と言い、一定の水準以下の外国子会社の所得を日本の親会社の所得とみなされるが、それが適用されないということになる。日本政府はトリガー税率の引き下げを今後も行っていくと見られるが、実は、ミクロネシアはそれに応じていく方針も示しているのだ。さらに言うならば、やはり最大のメリットは次の2点だろう。
1 日本国内で手続き可能(日本語でも可)
2 日本円で納税が可能
海外での設立手続き、さらには毎年の決算手続き、納税と面倒な作業が発生するものの、英語圏とは違い、ハードルはかなり低いようだ。実際に知る人ぞ知る存在であり、現地の報道によると、日本の東証1部に上場する大企業の子会社の名前も出てくるほどだ。今後はタックスヘイブン以上の天国になるか。