やはり大手の「億ション買っとけ」! マンションデータ改ざんの教訓

 2020年開催の東京五輪後の価格下落、中国人富裕層たちの占有率上昇などが、最近のマスコミが取り上げるマンションの話題の主流だった。ところが「パークシティLaLa横浜」のデータ改ざん発覚によって、話題はこれ一色に染まっている。マンション購入にはリスクも付きものだが、今回は売主が業界大手の三井不動産レジデンシャル。業界関係者は「何かあったときに大手かどうかで補償は違ってきます」というのがせめてもの救いだが、買えるならば大手の億ションなど高額物件を買うのがやはり安全だ。


 売主、施行会社。その社名を第一要素としてマンション選びをする人はまずいないだろうが、やはり立地を中心に、家族の事情、ライフスタイルなどを考慮して、最後のとどめに売主を確認して物件を購入する。売主や施行会社が大手であれば、一般的には安心だろうとなるからだ。

 今回は売主の三井不動産Rから三井住友建設に施工が投げられ、そこから日立ハイテクノロジーズ、さらに旭化成建材へと多重下請け構造となっている。

 三井不動産レジデンシャル ⇒ 三井住友建設 ⇒ 日立ハイテクノロジーズ ⇒ 旭化成建材

 最大の問題だとされている工程は、旭化成建材の担当者がデータ改ざんをはじめとして、全体で473本ある杭のうち70本で不正を人為的に行っていたというところにある。担当者の気持ちは推し量るしかないが、「マンションは薄利多売の商売ですから、ちょっとしたことで予定が狂ってもすぐに工期延長、経費増につながると、儲けはパーなんです。それを言い出せない空気、さらには施行主の監督も必ずしもすべてに目を光らせているわけではありません。この世界は、危ない人はどの現場に行ってもそうだし、ちゃんとした人はどの現場にに行ってもちゃんとしているし、今回の人は前者でしたね」とは、西日本の建設関係者。

 そのため特に、繁忙期で工期延長は絶対に回避したいバブル期物件や、3月入居物件は避けろという格言もないわけではないほどだ。

◆参考:パークハウスグラン南青山高樹町で発動した「バブル物件、3月入居物件は買うな」のセオリー

 仮に工事に不正があったとしても、確かめる術も存在しない。売り切った後は我関せずな体質なデベロッパーだが、こうしたケースは最後は売主や施行主頼みとなる。もしも、ここが体力のない会社であれば、すでに倒産していてなどとなれば目も当てられないからだ。どの程度の補償になるのかはわからないが、施行会社や下請け業者が資金を出すということになるだろう。

 ちなみに、一昨年、三菱地所の「パークハウス グラン 南青山高樹町」(東京・南青山7丁目)が契約者への引き渡し直前になって、配管用のスリーブ入れ忘れの事実を公表。後戻りができないほど工事が進行しており、中止せざるを得なくなってしまった。下請け業者の誰かがインターネット掲示板にタレ込んだことで発覚し、デベロッパーは事実を公表せざるを得なくなった。もちろん、この物件も隠していれば、現在も発覚していなかったのかもしれない。こちらは、手付金の倍返し。ケースによっては引越し、家賃など諸費用も持ったという。

 買うならば、やはり、大手の億ションなどの高額物件ということになろうか。
 
 ただし、この一件に関して言うならば、全棟建て替えは現実的な選択肢ではないという。前出の建設関係者は「現実的な問題として建て替えには相応の時間がかかります。しかも、全棟建て替えともなれば、
何年先になることか? 補償金をもらうなどして、新しい家を探す方がよほど現実的です」という。マンション建て替えは住民の5分の4の賛成が必要。一筋縄ではいかない。

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