1泊20万円「白い大奥」のVIP病室 「●●億円」預金通帳は無事か?

 「白い大奥」。

 TBS連続ドラマ「まっしろ」でも描かれた最高級セレブ病院は、ドラマでは上記のような表現でうたわれていた。ドラマらしく恋愛要素を入れるためにそうしているのだが、もちろん、ドラマと現実との差異はある。シニアの富裕層、さらには最近では海外からのメディアカルツーリズムの人気もあり需要は一定以上は存在しているのだという。

 まず一般的に東京都内で名前が挙げられる病院としては次のようなところがある。
・慶應病院
・山王病院
・順天堂医院
・聖路加国際病院
・東大医学部付属病院
・国立国際医療研究センター病院


「3号館特室1」(応接と水回り除く)=慶応病院HPより
 古くからVIPが使う横綱格と言えば、慶應、東大か。一般的には、政治家や芸能人は前者、皇室は後者という色分けになる。現在は需要も多く、情報を広く公開しており、大学病院のサイトに個室の写真や条件なども掲載されている。

 たとえば東大病院ならば、いくつかVIP向け個室のプランが紹介されているが、「特別室A」が155平方メートルで、19万4400円(1日あたり)。慶応病院の場合は「3号館特室」というところが、VIP個室に相当し、80.60平方メートルで1日あたり19万4400円となっている。どちらも高級ホテルのスイートルームのよう。病院機能が付属したホテルという考え方に近く、体に異変が起きても安心な上に、プライバシーと快適さが守られれば言うことなしだ。
 
 聖路加国際病院も入院は1日あたり10万円超。ただ、有名なのは2億200万円~5億5200万円の入居金を支払うレジデンスの方で、こちらは高級有料老人ホーム的な存在となる。こちらは鳩山由紀夫元首相の母・安子さんが晩年に住んでいたことでも知られ、赤外線センサーで入居者の様子を感知し、何かあればすぐに医師が駆けつけるというシステムになっている。

 レジデンスは他にも管理費が月12~27万円で、食事代金なども別に必要となる。

 積極的に個室の情報を公開しているのは、いわゆる「差額ベッド代」を取ることで病院の収支を少しでも改善するという意味もあるが、あえてホームページに記載がない病院もある。

 それは近年、人気が高まっている順天堂だ。後発ブランドではあるものの、「現理事長(小川秀興氏の下で収支も改善した上に、腕が良くてどこに出しても恥ずかしくない医師を徹底して育成している」(他大学出身の現役医師)成果が実ったのか、急速に慶應などの名門を追い上げているという。
 
 女優の森光子さんが晩年に入院していたことも死後に判明したが、鉄壁のセキュリティで、順天堂にいることが外部に漏れなかったそう。VIP病室を持つ病院にとってはある種の勲章でもあり、それでさらに評価が高まったとも言われる。

 他にユニークなところでは、東京都新宿区の国立国際医療研究センター病院がある。エグゼクティブスイートルームは90平方メートルで、1泊2日27万円。最上階16階に1室のみ存在し、会議室なども備え、仕事にも使える部屋になっている。また、特徴的なのは防弾ガラス設置ということでセキュリティ面を気にする要人向けでもある。

 VIP病棟の前には警備員が常駐し、セキュリティーチェックのシステムが導入されているところもあるそうだ。そんな中の様子は知りうるものではないが、話に聞く範囲では意外に人間くさい部分を感じさせる。

 連ドラ「まっしろ」の中で、末期がん患者の男性が医師の指示に従わずに勝手に転院したものの、余命いくばくかとなり、元の病院に帰りたいと言い出して戻ってくる話があるが、現役の看護師によれば、個室に入院する富裕層でも、いやなことがあると医師に従わずに出ていく人もいるようだ。

 また、VIP病室の空きがないような時は「病院への貢献度」も考慮されるのだという。貢献度とは何かわからないが、部長クラス以上が判断するのだとか。

 全体的にはユニットバス、キッチン、クローゼット、大型テレビなどが備え付けられており設備的にも快適。さらには、家族も呼ぶことは歓迎されており、自宅とそう変わらない空間にもなる。また、海外からの患者が入院した場合のことも考えて数カ国の衛星放送の視聴が可能になっているところもあるそうだ。

 では、入院する際にみなさんは中に何を持ち込んでいるのか。これは、家族と相続で揉めた、ある著名財界人の話だが、「●●億円」入りの預金通帳や印鑑(実印)、少しばかりのジュエリーなどの貴重品を小さな布袋に入れて、枕元に必ず置いていたという。生前にこれだけは、看護師や家族にも触らせることはなかったそうだ。謎だが金庫は持ち込めないということか?

 快適さに間違いはないだろうが、どこにいようとも、お金は心配ということか?

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