不動産経済研究所が発表した10月の月次マンション市場動向によると、首都圏マンションの成約率は68.8%となり、業界が好調の一つの目安とする70%割れが2カ月続いたことがわかった。また、価格1億円以上の億ションについても、成約率が72.8%と前月比8.5ポイント減となり、国内外の富裕層による需要が一巡した感も出てきた。そろそろブームの終焉が見えてきたようだ。
首都圏で分譲された1億円以上の新築マンションの成約は、7月からは20ポイント以上も下落。7割のラインが見えてきた。
◎月毎の供給戸数と成約戸数
◆10月
1億円~ 91分の66
2億円~ 1分の1
成約率72.8%
◆9月
1億円~ 63分の50
2億円~ 9分の9
3億円~ 3分の2
成約率81.3%
◆8月
1億円~ 134分の124
2億円~ 10分の10
成約率93.0%
◆7月
1億円~ 403分の384
2億円~ 38分の38
3億円~ 7分の6
成約率95.5%
ほかに東京都心部以外では、三菱地所レジデンスが京都市上京区の鴨川沿いに建設中の「ザ・パークハウス 京都鴨川御所東」では、最上階が7億円以上になる予定で、こうした目玉物件もあるが、全体には土地取得費用や建設コストが約3割上昇しているとも言われ、チキンレース状態でもある。
また、今後の市場動向に影響するであろう要素としては、杭打ちデータ偽装、タワーマンション節税の取り締まりがある。三井不動産レジデンシャルが販売した、横浜市のマンション「パークシティ LaLa横浜」の杭打ちデータ偽装で業界への不信感で出ている。この問題については、中国人富裕層の間でも知られるようになっているといい、中国人に一番人気がある六本木以外にも現在では、千代田区の番町エリア、さらには渋谷区の低層マンションなども検討の対象に入ってきているという。
相続対策などを考えていた特に高齢の資産家や富裕層にとっては、タワーマンション節税は有効な策の一つだった。しかし、国税庁の方針変更は心理的なプレッシャーを与えることは間違いなく、購入意欲を鈍らせることもありそうだ。