米時間13日に抽選が行われる宝くじのパワーボールが、キャリーオーバーが続いて賞金額は史上最高額の約15億ドル(約1773億円)になっている。過去に高額当選者の中には破産者となった例も多いが、大富豪が地元の講演会で破産しない方法を語っている。また、過去に2億2000万ドル(約260億円)当選し現在も成功している例も見てみることにする。
パワーボールは1~69の中から5つ、また1~26の中から1つ、それぞれ任意で数字を選び出す。そして選んだ6つの数字がすべて当たれば1等当選となる。高額当選の場合は、毎年分割払いで合計額で全額受け取るか、一括払い(減額される)か受取方法を選ぶことができる。
前回9日抽選の回も史上最高額の9億5000万ドルで、日本円で1000億円超えとなっていた。
当選確率は何億分の1という低確率となり、投資効率としてはひじょうに悪い。ただそれ以上に当選者は一生使いきれないと思うような金額を、5年ほどで使い果たすとも言われている。大金を持つ器かどうかが試されるわけだが、投資効率以上にお金に対して謙虚でもある富裕層が宝くじを購入しない理由でもあるだろう。
資産30億ドルの大富豪マーク・キューバン氏がこのほど、高額当選者に向けて語ったことを地元紙が伝えている。それは次のような内容になる。
・まず最初に顧問税理士を雇う。
・受取は一括にせずに分割にする。
・もし、きのうまで不幸だったとして、(当選したから)明日から幸福になれるという保証はない。
お金イコール幸福ではない。
・友達に言ってはいけない。誰も100万ドル必要な人なんかいないし、言う必要はない。
もしも頼んでくるような人がいれば、それは友達ではない。
・投資をしようと考えないこと。宝くじ当選者は良い投資家にはなれないので、銀行の口座に
預けておく。
本来は富裕層になる器ではない人が、大金を持ったがために使い果たして破産してしまうのが失敗パターン。助言は使わないためにどうするかという心構えと方法となる。大金を持っても幸せになれるとは限らないということを強く認識し、手堅く暮らすということを説いている。
過去に破産した例として、英国で16歳で190万ポンドの宝くじに当選したカリー・ロジャーズさんがいる。当選後は金遣いが荒くなったことで本人にも周囲にも不幸ばかりが起こり、2度の自殺未遂、離婚、逮捕、借金を背負い、現在はシングルマザーとなっている。こんな例は少なくはない。また、こうした失敗例が過去には数多く報道されている。研究においても高額当選者に不幸が訪れたというような結果はよく報道されるが、2013年のある調査を見てみる。
米「Brain Research Institute」が2013年に行ったものだが、5年以内に44%が当選金のすべてを使い果たしたという結果が出ている。ただ、55%は当選後に幸せになったとも答えている。調査は34人の当選者(男性8、女性26)を対象に行われた。
◆当選後も幸せか
・幸せに 55%
・変わらない 44%
・不幸に 2%
◆生活への影響
・結婚生活が続いている 95%
・家族が幸せになった 58%
・家族が不幸になった 37%
・家族にいくらか現金を渡したか 83%
◆ライフスタイルへの影響
・5年で当選金を使い果たした 44%
・寄付金額が増えた 40%
・初めて海外旅行に 19%
・海外資産を保有するように 1%
・子供を公立から私立へ移した 3%
◆仕事への影響
・当選前と同じ仕事を続けている 48%
・新しい仕事についている 15%
・独立した 45%
・宝くじはまだ買っている 68%
自分や家族が幸せになったとしている人は半数以上で、おおむね幸せになっているのではないか。また、結婚生活が続いている人も95%と家庭円満であることもうかがえる。ちなみに、うまくいった人の代表者として米国で2005年に2億2000万ドルを当選したブラッド・デュークさんの例が挙げられている。資産配分やお金の使い道は次のようになったという。
・債券などのローリスク投資 4500万ドル
・エネルギーや不動産などのリスク投資 3500万ドル
・基金 130万ドル
・17人の親族、友人とタヒチ旅行 6万3000ドル
・自宅ローンの返済 12万5000ドル
・奨学金の返済 1万8000ドル
・自転車 6万5000ドル
・乗用車 1万4500ドル
・家族への贈り物 1万2000ドル
デュークさんはTV出演など時々、メディアにも登場しているが、現在は基金を設立し慈善活動を仕事にしているという。債券や不動産などの投資の目的は、慈善活動の資金作りのためだという。