18年からスイスと口座情報自動交換 租税回避用の隠し口座は無力化

 日本とスイスの両政府はこのたび、金融口座情報の自動的交換の共同声明に署名を行った。これによって、2018年から両国に金融口座を持つ個人や法人の口座情報が自動的に交換されるようになる。仮に租税回避を目的にした金融口座などを保有していた場合でも、今後はそれぞれの政府間で情報は筒抜けとなる。

 日本の国税庁の平成26年事務年度(2014年7月~15年6月)までの租税条約に基づく情報交換はすでに、27万件以上が行われている。交換される内容としては、法定調書によって把握することができるもの。例えば、株式のキャピタルゲイン、株式配当金、不動産所得、無形資産の使用料、給与、役員報酬などがある。ここ数年の間に段階的に相互の要請で照会するなどしてきたが、今後は集めたデータを基にして、自動的に交換していくことになる。
 
 2014年9月にオーストラリアで行われたG20サミットで、金融口座情報の自動的交換に関連する基準が承認されており、日本政府は平成27年度の税制改正で環境を整備済みだとして、2018年末までに自動情報交換をスタートすることとしていた。日本政府はすでに昨年11月時点で、93カ国・地域と二カ国間の租税条約をを締結している。

 国家間はすでに動き出しているが、民間でも制度施行を前提にして動いている。

 ゆかしメディアでも過去に◆海外隠し口座がバレる? スイスPBから日本の富裕層に「不幸の手紙」◆として伝えているが、スイスのプライベートバンクから、日本人顧客(スイスから見た非居住者扱い)の元に身元と個人情報を確認する通知が昨年から届いていた。この意図は、日本政府との間に口座情報の自動交換を行うことを前提とした、身元確認作業の一環であることは明白だ。


 ICIJ(国際調査報道ジャーナリスト連合)の調査結果、通称「スイスリークス」によると、HSBCのスイスが口座保有者に対して必要に応じて資金隠しや脱税指南を行っていたことを示す証拠の存在が明らかになっている。

 同行には世界中の富裕層やセレブ約10万人の顧客情報があることが判明。また、同行に日本国籍名義のパスポートを持つ顧客は296人、口座数は596あることも併せて判明している。もちろん、すべてが悪意のある隠し口座であるはずもないが、届け出をしていなかったとしても、これらの情報は今後はすべてが日本政府に筒抜けとなる。古い隠し口座などはすべて把握されることになる。

 また、今後は日本国内でも個人と資産について次のようなひもづけが行われることになる。

◆財産債務調書
・年間所得2000万円以上
・資産総額3億円以上
・国外転出の歳の譲渡所得が1億円以上

◆国外財産調書
・5000万円以上の国外資産

◆マイナンバー
・順次、税務情報、財産情報、口座情報とのひもづけが行われていく


口座情報自動交換イメージ図(国税庁より)

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