全国47都道府県の年収1億円以上分布 新幹線効果続く石川県

 国税庁がこのほど発表した2014年分の確定申告者の納税状況で、ゆかしメディアは、全国47都道府県の年収1000万円以上と年収1億円以上の分布をまとめた。前年度は全国的にアベノミクス効果による株長者、不動産長者が多数出たものの、14年分は幾分地味に。東京、神奈川でさえ前年対比減少となったが、翌2015年に北陸新幹線が開業する石川県が目立ち、年収1億円以上こそ減ったが、年収1000万円以上は「7703人 ⇒ 7873人」で、2%以上も増加した。超富裕層は大きな利確は13年のうちに行っており、ある意味で守りにも意識を移し始めた年だと思われる。

 2013年は、年収100億円以上が全国で18人出たが、すべてが株式譲渡か配当だったようにアベノミクスが炸裂した年でもあった。14年は12人に減少。株の益出しはほぼ完了した感がある。1億円以上は1万7349人、1000万円以上は116万5151人。下図は各都道府県の年収1億円以上と、1000万円以上の人数を示した。


 ただ、日本中のどこかでお金は動いているもので、石川県は目立つ。年収1000万円以上は7873人で前年比で約2.3%増となり、増加率では東京に次いで高かった。同地は、国土交通省が発表した基準地価によると、2012年から上昇が続いており、特に2014年7月1日時点の基準地価ではJR金沢駅西口が前年比約16%の上昇となり地方圏の商業地の全国トップになった。2015年に開業した北陸新幹線の影響だが、金沢市広岡町、同此花町などで高い伸びとなっていた。また、波及して隣接する自治体の住宅地も上昇するなど、地元への一定の効果をもたらしているようだ。


兼六園
 石川県全体では人口減少が続いているが、金沢市に隣接する自治体は強くなっている面もある。週刊東洋経済が2014年に行った「住みよさランキング2014」で、野々市市が3位、かほく市13位、能美市19位とそれぞれ上位に入っている。このランキングは富裕度という評価項目もあり、住民の経済力の高さも反映されているランキングでもある。特に野々市市は、住民基本台帳ベースの人口増加率で(2010年 ⇒ 2013年)で全国2位の人口流入となっているほど。

 他では、九州新幹線が2012年に開通した、熊本、鹿児島も駅周辺の商業地が上昇を続けており、その影響もあるのか年収1億円以上、1000万円以上ともに増加した。東日本大震災以降、高所得者や富裕層の転入が続いていると見られる沖縄だが、年収1000万円以上はこの調査でも増加した。

 それ以外に、年収1000万円、1億円ともに前年から増加しているのは青森、福島、茨城、新潟で、なぜか偶然にも原子炉、もしくは原発関連施設、建設予定地を持つ自治体である。もちろん、それは何ら関係はないだろうが。

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