イタリアの宝石・時計メーカーのブルガリがモスクワに豪華ホテルを建設すると、ロシア版フォーブスが報じた。
ブルガリ・グループのCEO、ジャン・クリストフ・ババン氏とロシア人投資家アレクセイ・ボガチェフ氏、モスクワにあるディベロッパーのストーム・プロパテイーズが建設に合意した。2019年にオープン予定。
ブルガリのCEOババン氏はフォーブス誌のインタビューに答えた。
投資額は2億ドル
現在ブルガリ・グループはミラノ、ロンドン、バリ島にホテルを所有している。来年は上海、北京、ドバイにオープン予定だ。7つ目となるモスクワのホテルは市の中心部クレムリン、赤の広場から徒歩5分、チャイコフスキー記念国立モスクワ音楽院のすぐそばという非常にアクセスのよい場所に建設予定だ。
完成後の全体の敷地面積は12,000㎡以上。ホテルのデザインは、3つのブルガリ・ホテルをデザインしているイタリアの建築家・デザイナーのアントニオ・チッテリオ氏が手がける。
客室数は65。うち1室は「ブルガリ・スイート」と名付けられたプレジデンシャルスイートで、客室面積は300㎡。600㎡のテラスもあり、そこからはクレムリンとモスクワの中心部が一望できる。
レストラン、バー、1,600㎡のスパ(25mプールつき)、さらに敷地の内部はイタリア風パティオ(中庭)をモデルに設計。ボガチェフ氏が見積もった投資額は2億ドルとなる。
現在、ロシアの経済は好調とは程遠い。このタイミングで合意がなされたことについて、ババン氏はフォーブス誌のインタビューに答えた。
「今の時期こそ、ロシアには投資が必要だと考える。1年前のロシアは深刻な経済危機があり、我々はこの巨額事業をしばらく見送りにすることもできた。
しかし、この事業は大きな可能性を秘めており、見送ることはしたくなかった。ことラグジュアリーなものに関しては展望をもって挑戦するべきだと考える」
目的は外貨獲得&消費の国外流出に歯止め
ロシアの首都モスクワ、第2の都市サンクトペテルブルクの一等地に、この10年、今回のブルガリのような超高級ホテルのオープンが続いているほか、ブランドショップの進出も相次いでいる。どれも非常に高額な価格設定であっても、この10年を振り返ってみると、成功を収めていると言える。
ロシア国内のホテルの動向について報じる『プロホテル』によると、経済が低迷しているロシアに、このようにロシア国外の高級ホテルやブランドショップの進出が活発となっているのには、3点理由がある。
1つは、投資家たちが低迷しているルーブルを使って、外国からの観光客からの購買機会を増やしたいと考えていること。
2つ目に、ショッピングを目的としたアジアからの観光客向けに、ロシアにおける新しい市場タイプを構築したいという動きがあること。
3つ目は、これまで買い物を外国でしていたロシアの富裕層にも、ロシア国内での買い物・消費に興味を向けてもらいたいという動きがあること。
日本企業もユニクロが昨年末、モスクワに続いてサンクトペテルブルクの中心部のショッピングモール「ガレリア」内に初の出店をし、高品質の商品を扱うことで、ロシア人のみならず観光客たちからの注目も集めている。