崩壊寸前!? 不動産は「第3のバブル期」

 不動産市場が現在活況だ。
「相続税対策になる上に収入増」「2020年の東京オリンピックまで価格はウナギ登り」
そんな景気のよい話が聞こえてくるが、現状は一体どうなのか、ゆかしメディア編集部が調査した。

2020年を前にピークが来た!?

「不動産市場は、今が一番高値の時期と考えています」
 いきなりそんな発言で我々の意表を突いてきたのは、不動産コンサルタントの大野晃弘氏だ。
 不動産価格は2020年まで上がり続けると思いきや、現時点で異常とも言えるくらいに上がり続け、むしろピークを迎えたのではないか、大野氏はそう予測している。
「私は不動産の世界に20年以上関わっていますが、これほどまでに価格が上昇したのは、過去に2回しか経験がありません。1回目はバブル期で、2回目は『ファンドバブル』と呼ばれる時期です。ファンドバブルはリーマンショックで終わりましたが、バブル期と同じように不動産価格が急騰していました。そして、今はそれらのバブル期と同じような価格上昇の局面を迎えています。

 今が相場のピークと考える理由はいくつかあります。
 1つ目は、2020年に向けての価格上昇が大方の予想よりも早く進んでいることです。経験則ですが、急激な上昇トレンドは、何かのきっかけで急激な下降トレンドにつながります。今現在、価格上昇があまりにも早く進みすぎているので、必ず近いうちに調整局面が生じると予想しています。
 ですから個人的には不動産価格が2020年まで上がり続けるとは思っていません。長くてあと1~2年というところでしょうか。数年後に振り返ってみれば、実は今が天井だったね、ということも十分にあり得ると思っています。

 2つ目は、中国や台湾など海外の富裕層がこぞって日本の不動産を買っていることです。実は世界レベルで見ると東京の不動産価格は割安と映るらしく、ケタ違いのお金持ちが東京23区の、特に山手線内側や表参道、六本木、広尾などブランド力の強い立地の不動産を買っているようです。
 これはちょうどファンドバブルの頃の動きによく似ています。あのときはリーマンショックが起こり、一気に冷え込んでしまいましたが、この手の購買需要は、為替と世界情勢に大きく左右されます。
 昨今の世界情勢、そして急激な円高進行を見ると、この需要も永続的なものではないと思います。特に、テロや戦争が起こると、『安全資産』として円の価値が急激に上がります。そうすると、海外投資家が一斉に手を引くのは想像に難くありません。

 3つ目は融資です。現在はマイナス金利で、銀行の融資残高はバブル期やファンドバブル期と同じくらい多くなっています。融資は受けやすく金利は低いので、次々と不動産投資家が物件を購入しています。
 しかし、この融資環境もいつまで続くかわかりません。事実、一部の金融機関では、不動産への融資を引き締める方向のようです。バブル期のように、投機目的の不動産購入に一定の規制がかかる可能性もあります。
 そうすると、買い手が減る分、不動産価格は急激に下がっていくものと予想されます。

 もちろん、今よりも価格が上昇する可能性はあると思いますが、この後は何がきっかけで急激に相場が下がるかわかりません。2020年まで上昇トレンドが続くと思い込んで、特にキャピタルゲイン狙いで不動産投資を始めようと思っている方は、注意が必要だと思います」

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