トヨタの看板車種の1つ、カローラが2016年、発売50年を迎える。長く愛され続ける秘訣は何なのか、ゆかしメディア編集部が追った。
カローラという車は、ユーザーの層が非常に幅広い。その手頃な価格から大衆車というイメージがあるが、実は富裕層にも人気がある。都内でも有数の超有名ホテルに、いつもカローラで乗りつける富裕層もいるという。
「運転を楽しむ」ドライブを趣味とする人は、加速がいい、ドライビングを快適にする多くの機能が付いているといった、車の運転性能の高さを重視する。
また、装飾品などにこだわる人のための、贅を尽くした車もあり、どちらも数千万円から数億円に上るものも存在する。
一方で、「車は移動手段。とにかく安全に、快適に走ることが大事」という層も多い。
また、本当のお金持ちほど見た目の華美さにはこだわらず、機能を重視する。そして、それらの人々からの評価が高いのが、カローラだ。
カローラの強さは、どのような年収の人に対しても満足を提供できることにある。
取材の結果わかったカローラの強さは、以下の5つだ。
1.日本の交通事情を熟知
発売元のトヨタ自動車によると、カローラ(国内仕様)のテーマは「日本の交通環境を考慮し、大人4人が安心・安全、快適に長距離を移動できる最小のクルマ」だという。
「高級車」と呼ばれる車や「スポーツカー」には高性能なエンジンが搭載され、加速や最高速度が売りでもある。
一方で、外国メーカーの車は、日本の交通事情に合わないのではないかと思われるものも多い。
アメリカのような何もなく広い直線がひたすら続くような道や、ヨーロッパにあるような制限速度のない高速道路は日本にはまず存在せず、細かく入り組んでいたり、曲がりくねっている道も多いため、外国車メーカーの想定しているような加速を楽しめる場は限られる。
欧州などでの走りをメインに想定しているので当然ではあるが、その点、カローラは日本のメーカーらしく日本の道路事情を考慮したつくりとなっている。
2.効率的な設計、快適性
道が狭ければ、当然車も小さいほうが走りやすいことになる。車が小さければ、中の空間も狭くならざるを得ない。カローラはこの点でも「狭い道でも取り回しの良いサイズに抑えつつ、室内のゆとりを確保している」(トヨタ自動車)という。
3.高い安全性
かつては「“安全な車”は売れない」といわれた時代があった。運転を楽しむ人々にとって、安全は最優先ポイントではないゆえ、高級車の安全に関する対応の優先順位は低い。
今は安全性が高いことは、車の売りの1つ、むしろ車=移動手段の人にとっては、安全であることは強みとなってきている。
「安全」を大切にする富裕層からカローラが支持される理由の1つはこれだ。
フィールダー、カローラアクシオは昨年4月のマイナーチェンジにより、複数の安全装備をパッケージ化した「TSS-C(Toyota Safety Sense C)」を採用した。PCS(自動ブレーキ)、LDA(車線逸脱警告)、AHB(オートマチックハイビーム)などの機能を備えている。
カローラには、トヨタの技術を結集した最新の安全対策が取られている。
4.お得感のある価格
金持ちは値段の高いものを好むと思われているが、とにかく高ければ喜ぶような人は、実は本当のお金持ちではない。
本当のお金持ちは、お金を払うときの基準が“金額”ではない。“払う額に見合っているか”だ。
彼ら彼女らは決して高いから買うわけではない。価値に見合うと考えれば値段が高くても買う一方で、価値に見合わないと考えれば金額が安くても買わない。
その点においてもカローラは富裕層の受けがいい。走り、質感、快適性、燃費、扱いやすさのすべてをバランスよく充実させつつ、誰もが買い求めやすい価格を設定しているからだ。
5.長年の歴史と対応力
50年の歴史が物語るように、長年のヘビーユーザーが多いのもカローラの特徴の1つで、30年以上カローラを乗り換えながら使い続けているというドライバーもいる。そこには「安定」のカローラクオリティがある。
長い歴史に根差しつつも、最新トレンドや現状のメインユーザーのニーズをくみ上げて日々開発が行われており、ヘビーユーザーになると、旧モデルに感じた不満を新モデルはしっかりクリアしてきたことがわかるという。カローラの販売店も全国にあり、フォローアップ体制もしっかりしている。
もちろん車のカテゴリーによって求められる機能は変わるが、その根本となる考えはどの車でも変わらない。
「多くの方に長くご支持いただいているカローラの良さをぜひお乗りいただき、体感いただきたいと思います」(トヨタ自動車広報部)
初代カローラで特徴的だった内装の赤色を再現するなど、通好みのつくりになっているという。
価格は消費税込み240万円からだ。