日銀は23日、「FinTech(フィンテック)」の将来に関する初会合を日銀本店で開いた。FinTechは金融とIT(情報技術)を融合した分野で、世界的にも決済、資産運用、仮想通貨などに関して規模を拡大してきている。
日銀の黒田東彦総裁はFinTechの技術が「金融に大きな変化をもたらす」ものであり「金融サービスの利便性向上や経済活動の活性化に結びつくよう、実用化に向け、中央銀行の立場からなし得る最大限の貢献をしていく」と述べた。
黒田氏は「eコマースやシェアリングエコノミーへの刺激など、実体経済への影響も注目すべきだ」と指摘。
会合では、仮想通貨の中核技術であり、取引参加者が互いの金融取引記録を保有し合う「ブロックチェーン」と呼ばれる認証技術に関して活発に意見が交わされた。
金融機関でもFinTech活用の動きは広がっている。横浜銀行や住信SBIネット銀行などがブロックチェーンを使い、10月から24時間、365日の決済が可能な低額送金のシステム構築を目指している。
国・地域別ではアメリカ(122億1000万ドル)が全体の約6割を占めた。以下、中国の19億7000万ドル、インドの16億5000万ドルが続いた。
日本の投資額が少ない理由として、国内のフィンテック関連の起業の少なさが考えられる。ほかにも日本の金融に顕著な規制の多さも足かせになっており、金融庁は来年の改正銀行法の施行により銀行がFinTech企業へ出資できる幅を広げ、世界との差を縮めたい考えだ。
16年1~3月期の世界の投資額は53億ドル。前年同期比6割増のペースで拡大している。アジアでの投資が半数を占めているが、日本での投資案件はない。
日銀は4月にFinTechセンターを行内に設置した。国際的に出遅れているFinTech市場の育成に向け、主役の民間をどうサポートできるかの研究に着手した。この日の会合は日銀とNECや日本IBM、NTTデータなど8社との共催だ。
ここ最近FinTechが注目され、かつ伸びてきているのは、それが単なる「金融機関のIT活用」だけでない商品、サービスが多々登場していることだ。
むしろ金融にまったく関係ないIT企業が、開発した技術を金融に適用、応用して消費者の利便性を高めたものたちだ。
投資や資産運用には許可等が必要なものが多く、障壁は高いが、FinTechには国が乗り気である以上、ますますFinTechの活躍する分野が増えていくことだろう。