いよいよ間近に迫った大統領選。ヒラリー・クリントン候補のメール私的利用問題でFBIが捜査に乗り出たことで、開いていたドナルド・トランプ候補との差が拮抗し、どのような結果を迎えるか、注目を集めている。
この度、ヘッジファンドの大統領選に対する寄付が増加し、1億7300万ドルを超える見通しであると、フォーチュンが報じた。
この金額は2012年の前回選挙に比べ3倍以上、2008年の選挙に比べると8倍以上の額になる。
市場は政治的要因で変動することがよくあるため、政党に寄付をするヘッジファンドが多々ある。自分たちの投資スタイルに合った政策を実行してもらえそうな党と良好な関係を築くのだ。
それだけヘッジファンドの影響力が強まっているとも、アメリカではここ最近ヘッジファンドの運用成績が芳しくないことから、そのなかでも力を誇示し続けたいとも言える。
揃わない共和党の足並み
金融部門は全体で8億ドル近い金額を今回の選挙に関連して寄付しており、その額は2008年の選挙に比べ35%近くアップしている。全体的に増加しているが、その中でもヘッジファンドの割合は上昇している。
ヘッジファンドが行った寄付のうち42%は民主党で、58%は共和党となっている。そのなかでも、共和党は支持するがトランプ候補は支持しないと表明しているヘッジファンドもある。
そのような事情から、ブルームバーグによるとクリントン候補がブルームバーグ・ビリオネア指数にランクされる米資産家17人から集めた寄付額が合計で2110万ドル(約21億1100万円)なのに対し、共和党候補のトランプ氏が同指数にランクされる資産家から受けた寄付は、12人による合計102万ドルにとどまった。
有名ヘッジファンドマネジャーの支持政党もそれぞれだ。ジェームズ・シモンズ氏のルネッサンスは、共同経営者のロバート・マーセル氏が共和党を支持し、トランプ氏と候補者の座を争ったテッド・クルーズ氏を支援していた。
ルネッサンスはクルーズ氏が敗れ党の代表がトランプ氏になったのちも支持を続けているが、創業者のジェームズ、シモンズ氏はクリントン候補を支持し、ブルームバーグによるとクリントン氏に700万ドルを寄付している。
ポール・シンガー氏のエリオットマネジメントは、2400万ドル以上を共和党の選挙活動に寄付している。だがトランプ氏との関係は悪く、エリオットの寄付先は反トランプのグループだ。
ケン・グリフィン氏のシタデルは1000万ドル以上を共和党に寄付しているが、1万8000ドルはクリントン氏にも寄付している。
ジョージ・ソロス氏のソロスファンドマネジメントとパロマパートナーズは民主党を支持しており、その寄付額は1190万ドル近い。その額はほかの支持者を抜いてダントツのトップだ。
寄付の額に関してはクリントン氏の圧勝だが、実際の選挙結果はどうなるか。