最高益で和やか、拍手のANA
6月23日の品川駅前。徒歩圏内に大きなホテルが数多く建つこのエリアに、「株主総会会場はこちら」という看板が並んだ。
かどや製油、IHI、荏原製作所、JVCケンウッド、富士通コンポーネントなどなど、有名企業ばかりだ。
その中でも大きな存在感を放っていたのが「ANAホールディングス」の文字だ。同社の株主総会は、グランドプリンスホテル新高輪にて行われた。
ANAグループの業績は、非常に好調だ。売上高は1兆7652億円と前期に比べると1.4%ほど減だが、コスト改善策が奏功し、営業利益は1455億円と前期比6.7%増、経常利益も1403億円と前期比7.4%増を記録、当期純利益は988億円と26.4%増で、過去最高益を記録した。
傘下に収めたLCCのPEACHも好調で、同社は儲からないとされてきたLCCにおいて4期連続で増収増益をキープしている。
好調なこともあり、2111人の株主が出席した総会も非常に和やかに進んだ。ある株主が「業績を考えると配当金はもっと多くてもよいのではないか?」と質問するも、会場に居合わせたほかの株主たちの反応は冷ややかだった。
それよりも株主総会の議長を務めた片野坂真哉社長の「今は闇雲に配当を増やすよりも、東京五輪などを見据えた設備投資などをしっかり行っていきたい」という言葉に対し、会場から大きな拍手が起こった。
ANAとは対照的な株主総会
株主から好意的に受け入れられたANAに対し、荒れた株主総会となったのがJALだ。
会場が2016年より日本武道館から幕張に移ったこともあるが、出席者数は657人。
数字も、グループ連結売上高が1兆2889億円(前年比3.6%減)、営業利益が18.6%減の1703億円、経常利益は21.1%減の1650億円。当期純利益は5.9%減の1641億円となった。
今回、株主総会で役員報酬に関して業績連動型の制度を導入する案が出されたところ、「役員報酬の額が多すぎる」と株主からの不満が続出し、議長を務めた植木義晴社長が「静粛にお願いします」となだめる場面もあったという。
「もっと社員に還元すべき」「かつての破綻で損害を受けた株主への対応が手薄だ」といった声が集まっている。
業績面でANAに大きく水を開けられ、株主の心をつかむことにも失敗したJALの巻き返しなるか。