アメリカの高級不動産市場が活況だ。フォーブスが報じたところによると、物件取引が今年に入り好調で、高級物件の平均価格は前年比19%増の820万ドルとなっている。
世界で初めて自動車の大量生産を実現したフォード社の創業者、ヘンリー・フォードが所有していた豪邸が売りに出されることとなり、1億7500万ドル(約191億円)という販売価格に注目が集まっている。
この豪邸は「Jule Pond」の名前で知られている、ニューヨーク州のサウサンプトンにある建物で、広さ42エーカー(東京ドーム約3.7個分)、ロングアイランドで最大となる約400メートルのオーシャンフロントビューを備え、東にはメコックス湾、南には大西洋を望める。
メインとなる建物の広さは2万平方フィート(約1860㎡)で、アメリカの一般的な新築物件の8倍の大きさだ。ベッドルームとバスルームがそれぞれ12あり、自動車を6台収容するガレージ、馬車置き場や温室などもある。
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価格が7500万ドル(約82億円)以上の住宅はアメリカに32軒あり、その数は2016年から6軒増えている。2017年のリストを見てみると1億ドル以上の物件は17あり、そのうち12軒がロサンゼルスに位置している。
さらに上になると、ロサンゼルスの高級住宅街ベルエアの敷地面積2万5000平方フィート(約2300㎡)の大豪邸「チャートウェル」が3億5000万ドル(約386億円)で売りに出されているほか、未完成で正式に市場には出ていないが買い手を募集しているものとして、不動産開発も手掛ける映画プロデューサー、ナイル・ニアミ氏の邸宅「The One」だ。価格は5億ドル(約551億円)で、敷地面積は10万平方フィートという。
金額の上限を見ればきりがないが、さすがにこれらの超高級物件の取引はそう頻繁ではないという。多くの物件が実際に取引されることは少なく、フォード邸も土地の一部のみを購入できるようにするなどされる見込みだ。
これまでの市場最高額で実際に取引されたのは、2014年5月にヘッジファンドマネジャーのバリー・ローゼンスタイン氏がアメリカの富裕層が多く別荘を構えるイースト・ハンプトンの豪邸を1億4700万ドル(約161億円)で購入したものだ。
ローゼンスタイン氏はペンシルバニア州のリーハイ大学を卒業し、ペンシルバニア大学ウォートン校でMBAを取得、メリルリンチなど複数の金融機関に勤務したのち、2001年にJANAパートナーズを創業した。同ヘッジファンドは企業の合併、買収、再生、リストラなどを投資機会ととらえるイベント・ドリブン型の投資戦略を得意とするほか、売り・買いを組み合わせるロング・ショート戦略も行っている。
ローゼンスタイン氏はブラウン大学、アメリカのオリンピック財団、ロックの殿堂などの評議員や理事を務めている。
そのほかに、ソフトバンクの孫正義氏もカリフォルニア州シリコンバレーに住宅を購入、購入価格1億1750万ドル(約128億円)は当時の住宅取引史上、最高額だった。約835平方メートルのネオクラシカル様式の建物で、邸宅内にはプールや図書館、テニスコートなどを有している。