複利運用とは?
みなさんは「複利」という概念をご存じでしょうか。複利とは、もともとは利息計算の方法の1つで、前期までの利息を元本に合算し、当期の利息の計算対象に含めるという方法です。これに対して、当初の元本のみを対象に利息を計算する方法を「単利」といいます。
資産運用の場合でも、利息計算同様に複利・単利の考え方があります。
複利運用とは、運用によって得られた収益を再投資することで、雪だるま式に投資元本を増やしていく運用方法をいいます。複利運用をすれば、得られた収益が元本に組入れられるので、加速度的に資産が増えていきます。
これに対して単利運用とは、得られた利益を現金として受け取るなど、元本には組入れずに運用する方法です。この場合、当初の投資元本のみを運用していくことになります。
得られた利益を現金として受け取りたい方には単利運用が向いていますが、資産を加速度的に増やしていきたい方には複利運用が向いています。
複利運用の計算式
『複利運用した場合の資産=元本 ×(1+年利率)^n(n=運用年数)』
複利運用の場合の資産の増え方については、上記の計算式で求めることができます。ここで注目すべきは、運用年数(n)が掛け算ではなく累乗となっている点です。これは、運用年数が大きくなるほど、複利の効果が大きくなることを意味しています。
例えば、100万円の資産を5%で複利運用することを想定しましょう。
1年目の運用結果は、105万円となります。
100万円×(1+5%)^1=105万円
2年目は、元本の100万円だけでなく、1年目の運用成果5万円を含めた105万円を5%で運用することになります。その結果、2年目の資産運用を終えた時点での総資産額は110.25万円となります。
100万円×(1+5%)^2=110.25万円
つまり、1年目は資産が5万円増えたのに対し、2年目は5.25万円増えており、雪だるま式に資産が増えていることがわかるかと思います。
また、利回りが高いの資産運用がどれか知りたい方は「資産運用の利回りの定義や、年利が高い投資商品5選を紹介!」をご覧ください。
複利運用のシミュレーションを単利運用と比較
それでは、単利運用と複利運用の違いを、具体例で見ていきましょう。
例として、300万円の資産を、それぞれ3%の利回りで、単利運用と複利運用した場合の、総資産額の推移をシミュレーションしてみます。
運用年数 | 単利運用の場合 | 複利運用の場合 | 差額 |
---|---|---|---|
1年目 | 3,090,000円 | 3,090,000円 | 0円 |
2年目 | 3,180,000円 | 3,182,700円 | 2,700円 |
3年目 | 3,270,000円 | 3,278,181円 | 8,181円 |
4年目 | 3,360,000円 | 3,376,526円 | 16,526円 |
5年目 | 3,450,000円 | 3,477,821円 | 27,822円 |
6年目 | 3,540,000円 | 3,582,157円 | 42,157円 |
7年目 | 3,630,000円 | 3,689,622円 | 59,622円 |
8年目 | 3,720,000円 | 3,800,310円 | 80,310円 |
9年目 | 3,810,000円 | 3,914,320円 | 104,320円 |
10年目 | 3,900,000円 | 4,031,745円 | 131,749円 |
11年目 | 3,990,000円 | 4,152,702円 | 162,702円 |
12年目 | 4,080,000円 | 4,277,283円 | 197,283円 |
13年目 | 4,170,000円 | 4,405,601円 | 235,601円 |
14年目 | 4,260,000円 | 4,537,769円 | 277,769円 |
15年目 | 4,350,000円 | 4,673,902円 | 323,902円 |
16年目 | 4,440,000円 | 4,814,119円 | 374,119円 |
17年目 | 4,530,000円 | 4,958,543円 | 428,543円 |
18年目 | 4,620,000円 | 5,107,299円 | 487,299円 |
19年目 | 4,710,000円 | 5,260,518円 | 550,518円 |
20年目 | 4,800,000円 | 5,418,321円 | 618,334円 |
上の表が、単利運用と複利運用の運用結果です。
見てわかるように、単利運用と複利運用では、2年目には2,700円という僅かな差しか生じません。しかし、その差は運用期間が長くなるほど大きくなり、9年目にはその差が10万円を超えました。
そして20年目には、単利と複利の差は61.8万円まで広がりました。これは実に、当初の資産300万円の20%に相当する大きな差です。このように複利の効果は、運用期間が長くなるほど大きくなります。
また、両者の差は利回りが高いほど大きくなります。例えば、同じ300万円を利回り5%で20年間運用した場合、単利と複利で約196万円(当初元本の65%に相当)もの差が生じます。
なお、自分で毎月の積立金や想定利回り、積立期間を設定して複利運用の資産運用シミュレーションがしたい方は、金融庁の以下のサイトを参考にしてください。
金融庁:資産運用シミュレーション
複利運用の3つの特徴
単利運用よりも効率的に資産形成できる
ここまで見てきたように、複利運用は、運用によって得られた収益を元本に組み入れる(再投資する)ことで、投資元本を拡大していく方法です。
単利運用の場合は、いつまでも元本が当初のままである一方、複利運用の場合は、元本が増えた分(再投資した分)だけ運用効率が上がります。先のシミュレーションでも、複利運用の方が単利運用よりも総資産が大きくなったのを確認できました。
このように複利運用は、単利運用より効率的に資産を増やすことができるのが特徴です。
長期投資をすると効果が大きくなる
複利運用は、投資期間が長くなるほど効果が大きくなるという特徴もあります。先のシミュレーションでも、はじめのうちは単利と複利の差は小さいものの、徐々に大きくなっていくことを確認しました。
複利効果はしばしば「雪だるま」に例えられます。はじめは小さい雪玉でも、1回転がすと、雪が付着して少し大きくなります。2回目は、少し大きくなった雪玉を転がすので、1回目よりも多くの雪が付着します。こうして、徐々に雪玉が大きくなっていくのです。
複利運用の計算式で、運用年数(n)が累乗となっていたことを思い出してみましょう。このことは、資産が文字通り指数関数的に増えていくことを示しています。長期投資を行う場合、複利運用の概念を理解することが大前提と言えるでしょう。
長期投資について詳しく知りたい方は「長期投資におすすめの商品7選!長期的な資産運用のメリットとデメリットは?」をぜひ参考にしてください。
リスクを取り続けることを意味する
利回りが常にプラスと仮定すれば非常に魅力的な複利運用ですが、利回りは必ずしもプラスであり続けるというわけではありません。
複利運用は、得られた利益を元本として再投資に回す方法です。つまり投資対象がリスク資産の場合、引き続きリスクをとり続けるということを意味します。
その結果、投資対象が大きく値崩れしたときには、複利効果を狙って再投資していた方が、利益を現金で受取っていた場合よりもダメージは大きくなってしまいます。
このように複利運用では、リスクも徐々に、かつ加速度的に増大していることを認識するようにしてください。
複利運用の効果を表す72の法則とは?
複利運用の効果を端的に表すものとして「72の法則」という計算方法が知られています。これは、「資産を2倍に増やすには何年かかるか」を計算する方法です。複利運用を行えば、72を利回りで除した年数で資産が2倍になるという法則です。
資産が2倍になる年数=72÷利回り(%)
例えば、利回り1%の場合は「72÷1=72年」、5%の場合は「72÷5=14.4年」で資産が2倍になることがわかります。
この「72の法則」を活用すれば、ご自身の運用資産を2倍にするためにあと何年運用する必要があるのかがわかります。また、何年後までに2倍に増やすには利回りがどれくらい必要なのかを概算することができます。
複利運用のやり方|おすすめの商品を3つ紹介
それでは、複利運用をするには具体的にどのような金融商品を選べば良いのでしょうか。ここでは、おすすめの商品3つを紹介します。
定期預金
定期預金は複利運用で資産を増やせる方法の1つです。定期預金の場合は、満期後に元本と利息を合算して、同期間の定期預金を組むことで複利運用となります。
ただし、現在の定期預金の金利はネットバンクなどでも0.01%~0.03%程度です。0.01%の場合、72の法則によって、資産を2倍に増やすのに7,200年かかることがわかりまます。
このように、定期預金は資産を守る効果はありますが、資産を増やす効果はあまり期待できません。
投資信託
投資信託も、複利運用で資産形成できる資産運用方法です。投資信託によっては、一定期間ごとに運用成績に応じた「分配金」を受取ることができますが、この分配金を現金で受取らずに再投資することで複利運用になります。
また、無分配型の商品であれば含み益に対する税金もかからないので、より効率的に複利効果を享受できます。
なお投資信託の中には、商品によって6~9%程度の利回りを狙えるものもあります。複利効果は利回りが高いほど大きくなりますので、NISAやiDecoといった制度を活用したり、手数料の安い商品を選ぶなどして、効率的に複利運用することが重要です。
ロボアドバイザー
ロボアドバイザー(ロボアド)は、インターネットを通じて、投資商品に関するアドバイスを受けたり、実際の運用手続きを代行してもらったりできる資産運用のサービスです。
ロボアドバイザーの場合は、人工知能(AI)が効率的な投資行動を助言や代行してくれます。そのためロボアドバイザーの判断に任せていれば、運用益を再投資することで複利運用することができます。
なお、ロボアドバイザーで期待できる利回りは、各個人の想定運用期間やリスク許容度によって異なります。投資を始める前に、運用目的や目標を定めておくようにしましょう。
複利運用をしたい方にはヘッジファンドもおすすめ
ここまで見てきた通り、複利運用を長期間することで、単利運用と比較して大きな投資成果を得られることがわかります。複利運用の投資先はさまざまで、リスクとリターンを考慮して選ぶのがおすすめです。
一方で、複利運用は年間で損失を被ってしまった場合、単利運用よりも損失額が大きくなってしまいます。そこで「複利運用をして資産を増やしたいが、自分で投資先を決められない」という方はぜひヘッジファンドダイレクトにご相談ください。
ヘッジファンドダイレクトでは、複利運用を含めた投資実績が豊富な優良ヘッジファンドを紹介しているので、あなたの投資目標に合わせた理想的な複利運用を実現します。