海外口座とは?
海外口座とは、海外に本店を置く銀行の口座のことです。海外口座は日本の銀行と同様に普通預金口座と当座預金口座があります。海外では小切手が日常的に使用されているため、普通預金口座ではなく当座預金口座を開設するケースが多いです。
海外口座は「オフショア口座」と呼ばれることがあります。海外口座とオフショア口座は基本的には同じ意味ですが、タックスヘイブン(租税回避地)にある銀行のことを特に「オフショア銀行」と呼ぶことがあります。
海外口座を開設すると、旅行や出張などで海外に行ったときに現地の銀行で現地の通貨を引き出せるだけでなく、資産運用をする際にも役立ちます。メリットだけでなくデメリットも存在しますが、この点については後ほど詳しく説明します。
海外口座の作り方|日本での開設も可能!
海外口座は、基本的には現地の窓口に赴いて開設することが必要です。しかし、一部の海外口座は日本にいながら開設することも可能です。ここでは、海外口座の開設方法について、海外での開設方法と日本での開設方法に分けて解説します。
海外での開設方法
現地(海外)の窓口
海外口座は現地(海外)の窓口で開設するのが基本です。開設方法は国や銀行によって異なりますが、窓口の担当者とは英語でのやり取りが必要になってきます。銀行によっては通訳を同席させて良い場合があるので、英語が苦手な方は事前に確認しておきましょう。
また必要書類として、本人確認書類はパスポートを使用できます。また口座開設時に入金するために、現金やクレジットカードの持参も必要です。
その他の必要書類は、国や銀行によって異なりますが、現地での住所を確認できる書類やビザ(査証)の提示は必ず求められます。
近年はマネーロンダリング対策によって規制が大幅に強化されており、口座開設時に必要な書類が増えています。海外口座開設に必要な書類は以下の通りです。
必要書類名 | 内訳 |
---|---|
本人確認書類 | パスポート、国際運転免許証、そのほか写真付き身分証 |
外国人登録証などの書類 | <アメリカの場合> SSN(ソーシャルセキュリティナンバー)、ITIN(個人税務番号)のいずれか <フィリピンの場合> ACR(外国人登録賞)、SIRV(特別投資家ビザ)のいずれか |
現住所を証明する書類 | 海外で現地の現住所を証明する書類 |
バンクリファレンス | 海外では現在取引している銀行との取引実績を証明する書類 |
現住所を証明する書類 | 海外で現地の現住所を証明する書類 |
現金またはクレジットカード | 預金したい金額の現金、クレジットカードのいずれか |
なお、上表に記載の「バンクリファレンス」とは、現在取引している銀行が発行する証明書のことです。正式名称は「バンク・リファレンス・レター」と言います。
「信用証明書」や「英文証明書」と呼ばれることもあり、現在取引している日本の銀行の窓口で発行してもらえます。
日本での開設方法
オンラインや代理店を通す
海外口座は日本からオンラインで開設したり代理店を通して開設することが可能です。ただし、全ての銀行が日本で開設できるわけではなく、日本で口座開設ができるのは米国ユニオンバンクなど一部の銀行に限られます。
例えば三菱UFJ銀行では、アメリカのユニオンバンクとパートナーシップを結んでおり「カリフォルニアアカウント・プログラム(米国)」にて口座開設を代行してもらえます。わざわざ米国に行かなくても口座開設できることは大きなメリットでしょう。
申し込みに必要な書類は以下の通りで、手続き完了後、およそ3~4週間で口座開設ができます。
三菱UFJ銀行あての「取次依頼書」、およびユニオンバンクあての「預金口座開設申込書」(両方とも本パッケージに同封)をご提出ください。加えて、本人確認の書類として以下の項目から2つの書類のコピーが必要です。
2つの書類のうち最低1つは(1)~(5)からお選びください((2)が日本以外のパスポートまたは2020年2月4日以降に申請・交付の日本のパスポートの場合、(2)パスポートと(7)クレジットカードとの組み合わせは不可)。
日本の運転免許証/Japanese Driver’s License
パスポート/Passport
(顔写真のページと、氏名と現住所が書かれた所持人記入欄の両方のコピーが必要です)
日本以外のパスポートまたは2020年2月4日以降に申請・交付の日本のパスポートは、顔写真のページのコピーのみご提出ください。住民基本台帳カード(写真付き)/Basic Residential Register Card(with photo)
個人番号カード/Individual Number Card(表面のコピーのみ必要です。ただし、通知カードは除きます)
在留カード・特別永住者証明書/Resident Card, Special Permanent Resident Certificate
(日本国籍以外の方は必ずご提出ください)運転経歴証明書/Certificate of Driving History
クレジットカード/Credit Card
(VISA®・Mastercard®・American Express®・DISCOVER®・JCB・Diners Clubのいずれかに限る。家族カード、法人カード、コーポレートカードを除きます)健康保険証/Health Insurance Certificate
(カード型健康保険証の場合で裏面に住所等の記入欄がある場合は、住所を裏面に記入のうえ、裏面のコピーも必要となります)
健康保険証コピーの保険者番号、被保険者等記号・番号は黒塗りしてください。
なお、三菱UFJ銀行の口座を開設していない場合は、事前に三菱UFJ銀行の口座を開設することが必要です。三菱UFJ銀行の口座は1~2週間で開設できます。
三菱UFJ銀行の口座を開設できれば、三菱UFJ銀行の海外口座ご紹介サービス「カリフォルニアアカウント・プログラム」に申し込みます。申込書は全部で25ページあり、三菱UFJ銀行のホームページでダウンロードができます。
三菱UFJ銀行「海外口座ご紹介サービス《カリフォルニアアカウント・プログラム》」
申込書に必要事項を記載して郵送すると約1週間後に口座開設通知が届きます。その後、暗所番号やATMカードが届き、オンラインバンキングを利用できるようになります。
海外銀行の日本支店
一部のフィリピンの銀行などでは、日本支店にて口座開設ができます。日本支店で口座開設ができる海外銀行はかなり少なく、フィリピンや中国、香港などの銀行に限られます。海外銀行の日本支店での口座開設手続きは、窓口の担当者と相談して進めます。
ただし、中国や香港などの銀行では日本支店で口座開設をしても日本国内でしか使えず、海外では使えないケースが多いです。海外銀行の日本支店で口座開設をする際は、海外でも使えるかを確認しておきましょう。
海外口座開設のメリット
海外口座を開設することで、資産運用をする際の投資対象の金融商品が豊富になるなどのメリットがあります。それでは、海外口座開設のメリットについて見ていきましょう。
外貨への分散投資ができる
海外口座を開設するメリットは、外貨への分散投資ができることです。日本円だけでなく外貨でも資産運用をすることで、為替変動のリスクヘッジになります。
また、万が一日本が財政破綻した場合も大切な資産を守れます。日本は国の借金の総額が約1,200兆円もあり、世界一の金額になっています。
ただし、日本は世界最大の対外純資産保有国でもあり、資産と借金のバランスで見ると短期的には財政破綻のリスクは高くないと考えられます。さらに、発行している国債の約9割を国内で保有していることも安心材料です。
しかし20~30年の長期的なスパンで考えると、日本という国がデフォルトするリスクはゼロではありません。外貨への分散投資をしておくともしもの時の備えになり、外貨が家族の生活を守ってくれます。
日本国内の銀行よりも預金金利が高い
海外銀行は日本国内の銀行よりも預金金利が高いことも、海外口座を開設するメリットです。日本の普通預金の金利は0.001%ですが、アメリカの普通預金の金利は0.01%、オーストラリアは0.05%、中国は0.30%、タイは0.25%と日本よりも高金利です。
世界的に低金利の状態が続いているため、以前と比べると高金利の恩恵は少なくなっているものの、海外銀行の金利は日本の10倍以上になっています。カンボジアなどは普通預金の金利は1%台なので、日本の金利の1,000倍以上になります。
ただし、高金利になるほどリスクが高くなるので、金利の高さだけで海外銀行を選ぶのは危険です。リスクとリターンのバランスが取れている海外銀行を選ぶようにしましょう。
投資対象が豊富になる
海外口座を開設すると投資対象が豊富になることは大きなメリットです。国内の銀行口座では投資できない金融商品も購入できるので、理想的なポートフォリオを組みやすくなります。
日本は金融商品の規制が厳しく、日本の銀行で販売できる金融商品は限られています。海外口座を開設すると現地の国の法律が適用されるため、日本の銀行では販売できない魅力的な金融商品を購入できます。
また、香港やシンガポールなどの税金が安い国・地域の海外口座だと運用益にかかる税率が低く、節税効果が得られることもメリットです。ケイマン諸島などのタックスヘイブンに本社があるオフショア銀行では税金はほとんどかからず、大きな節税効果が得られます。
なお、海外講座の中でも特に利回りが高いプライベートバンクに興味がある方は「プライベートバンクの利回り|日本とスイスやシンガポールなど海外の銀行で比較!」をご覧ください。
海外口座開設のデメリット
海外口座を開設すると、口座維持手数料がかかるなどのデメリットが生じます。それでは、海外口座開設のデメリットについて見ていきましょう。
口座開設方法が限定されハードルが高い
海外銀行は口座開設方法が限定され、口座開設のハードルが高いことがデメリットです。先ほど紹介したように、オンラインや代理店を通じて開設できる海外口座もありますが、現地に行って口座開設するのが基本です。
また、バンク・リファレンス・レターなどの特殊な書類が必要になるケースもあり、必要書類を揃えるだけでも大変な手間がかかります。現在はマネーロンダリング対策のために、世界的に海外口座の開設が厳しくなっていることも知っておきましょう。
言語や法律が異なり手続きが大変
海外銀行は現地の国や地域の法律が適用され、国や銀行によって規制やルールが異なります。海外口座を開設する際は、その国の言語や法律に精通している必要があり、日本の銀行口座を開設するよりも面倒な手続きが発生します。
また、海外口座を開設するには英語でのやり取りが必要になり、日常会話レベルの英語力が要求されます。銀行によっては通訳の同席を認めない場合があるので、ある程度の英語力がなければ海外口座を開設することは難しいです。
口座維持手数料(メンテナンス費用)がかかる
海外銀行のほとんどは、口座開設をするだけで口座維持手数料(メンテナンス費用)がかかります。口座を維持するのに毎月メンテナンス費用がかかることはデメリットと言えるでしょう。なお口座維持手数料は、口座を全く利用しなかった場合でも毎月かかります。
また、口座維持手数料は国や銀行によって異なり、アメリカの場合だと毎月5~15ドル程度が相場です。日本円に換算すると500円~1,600円程度の費用が毎月かかるので、預金額が少ないほど感じる負担の割合は大きいと言えるでしょう。
海外投資に興味がある方はヘッジファンドダイレクトにご相談を
ここまで見てきた通り、海外口座を開設する際にはさまざまな手続きが必要になります。また、手続きは基本的に英語で行われるため、全く英語を話せない場合は通訳をつけるなどの別途費用が発生するでしょう。
海外口座を開設して、海外の金融商品に投資をしてみたいと考えている方は、ぜひヘッジファンドダイレクトにご相談ください。
ヘッジファンドダイレクトでは、世界のさまざまな金融商品での運用実績が豊富な優良ヘッジファンドを紹介しているので、面倒な手続きなしに海外投資にチャレンジしてみたい投資家を十分にサポートしてくれるでしょう。