シャープ堺工場、最悪のタイミングで株主工場見学会

 2900億円もの最終赤字を予測しているシャープ。片山幹雄社長(54)が4月1日付で代表権のない会長に就き、次期社長に奥田隆司常務執行役員(58)が昇格する人事を発表したばかり。このタイミングで、片山社長が約束した、株主向けの堺工場(大阪府堺市)見学会が開かれている。いまや赤字の元凶となったこの工場は、5割もの減産を実施中。なのに、説明者は「世界最新鋭」「環境に配慮」と能天気な説明を繰り返し、株主が爆発した。見学会の模様を報告しよう。

カメラ撮影禁止、携帯電話禁止


世界最新鋭を誇るシャープの堺工場
 工場見学会は、“株主優待”の一環として昨年6月の株主総会直後に募集したもの。希望者が殺到したため、片山社長の肝いりで、募集枠を拡大した。まさか、こんなタイミングでの実施になるとは、当の片山社長は思っていなかったことだろう。

 集合場所は南海・堺駅前のホテル。約150人が集まった。ほとんどがリタイヤ組とおぼしき高齢男性。大型観光バスで約15分走ると、真新しい巨大な建物群が見えた。実に甲子園球場32個分の広さという。

 バスが敷地に入ろうとしたところで車内アナウンスが流れた。「この工場は一般向けの見学はしておりません。機密事項もありますので、敷地内での写真撮影はご遠慮ください。携帯電話の電源もお切りください」。神経を尖らせているのがわかる。

 工場建屋のホールに到着すると、毛利雅之・執行役員(経営企画室長)が鎮痛な表情で株主を出迎えた。

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