資産流出防ぎサントリー佐治一族が長者番付2位

 フォーブスの長者番付の日本版が発表され、昨年は名前がリストから外れていたサントリーの佐治信忠氏一族が、77億ドルで復活し2位に入った。1位は3年連続でファーストリテイリング創業者の柳井正氏だった。


佐治信忠氏
 佐治信忠氏一族と言えば、フォーブスの日本版大富豪ランキングの上位常連であり、毎回70億ドル以上の資産評価をされてきた。直近では、2010年が2位で、昨年がランク外で、今年が2位に返り咲いた。

 昨年、フォーブスは電子版で「プライベートカンパニー(寿不動産)の詳細を調べるために、リストから外した」との見解を掲載した。

 集計期間中に、寿不動産の筆頭株主であった鳥井春子さん(9.21%保有)が亡くなっており、その名義がどうなったのか判明していなかったため、精査することが必要との判断になったと見られる。また、同社は資産評価が簿価の上に、約9割を保有するサントリーが未上場のために、全貌が掴みにくいということもあっただろう。

 金融庁に2011年3月31日に提出した「親会社等状況報告書」によると、現在はサントリー芸術財団が13.81%の筆頭株主になっている(春子さんの株式が寄付された)。

 春子さんは99歳で、相続問題はサントリーにとって懸案事項でもあった。同財団は公益法人で、公益法人に寄付した際には相続税の対象としない特例がある。ファミリーの外に流出することなく、一族に資産が残った形だ。もちろん、流出していれば2位には入っていないだろう。

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