評判悪い大阪国税局、今年はさらに対応悪化も

 12月の税務年度末に向け、関西では「大阪国税局の税務調査が、来年一段とひどくなる」(製造業関係者)と懸念する声が広がっている。大阪から本社流出が続き、大阪国税局管内で法人所得税を納付する企業が減少、存在意義をかけ税務調査が厳しくなってきた。

「大阪国税局が嫌いだから本店を移したい」

 今年10月に新日鉄住金が誕生したことで旧住友金属工業の本社が消失、また一つ大阪から有名企業がなくなり、シャープ、パナソニック、関西電力など名だたる企業が赤字で税収の大幅減少も見込まれている。「大阪国税局の調査姿勢は関西経済の地盤沈下に拍車をかける遠因と言われてきた」(財界関係者)だけに、2013年の税務調査姿勢が懸念されている。

 「大阪国税局の税務調査の態度がひどく、それが理由で本店登記を移したいと思った」。

 あるメーカー関係者はこう話す。日本の税法解釈はグレーゾーンが多く、追徴課税を受けた企業が「見解に相違があったが、応じた」とコメントすることが少なくないが、この企業は「もめたくないので追徴に応じたのにマスコミにリークされた」と憤る。

 別のサービス業の場合は負い目に付け込まれた。「うちの税務処理そのものが正しくなくて、徹底的な調査を受けたが、『不正の一部を海外がからむ取引に付け替えてくれ』と国税局職員に依頼された」という。


大阪市
 海外がからむ「移転価格税制」の問題では、大阪国税局に巨額の追徴を受けた武田薬品工業やカプコンが異議を申し立て、税が還付されたことが記憶に新しい。不正内容の付け替えを税当局が依頼する背景には、海外案件での不正を暴くことが、各国税局の評価対象になっているからなのかもしれない。

 大阪国税局職員の態度が悪いことが広く知られたのは、海運大手、川崎汽船(本店・神戸市)に対する問題だった。

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