「1億円は客じゃない」【スイス資産家夫婦殺害事件】

 霜見誠さん夫妻が殺害され遺体で発見された事件で、容疑者も逮捕され事件の全容解明が今後も進んでいくことだろう。ただ、霜見さんが独立してからの仕事ぶりは、1億円程度の運用資金は相手にしなかったという。さらに、コンプライアンスよりも利益を重視する姿勢が、今回の事件を招く原因にもなったようだ。だが、投資家から集めた資金の総額はピーク時には300億円は下らないのではないか、との情報もあり、今後は、この資金の行方にも注目が集まる。

「1億円では話にならないよ」


霜見さんが日本では拠点にしていた銀座
 スイスのプライベートバンカー(以下PB)の霜見誠さん夫妻の遺体が発見されてから、ほどなくして主犯格の容疑者が逮捕された。マスコミ関係者によると、この男と被害者の間の投資の接点は中東ドバイの案件で、数千万円の損失を出したようだったという。

 しかし、この点で大きな疑問が残るのだ。というのも、「霜見さんは、1、2億円程度の資金での投資はお断りしていたはずだし、せめて10億円以上の資金じゃないと…。だから、かなりの上顧客をつかんでいたようです」と、かつての被害者を知る業界関係者が明かす。

 ただ、ドバイの案件は一人当たりにすれば、そこまで大きな額ではなかったようだ。もちろん、関西の伝説の仕手筋であるN氏の資金や、その周辺にいる有力者Y氏の資金、裏社会の資金なども入っていたと言われる。

 つまり、かつてとは比較にならないような小口の資金、出所がはっきりとしない資金が入っていたということだ。年収5億円の武勇伝を語っていたPBにしては、セコく、しかも警戒心もなく不用心ではないか、というのが正直な印象だ。

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