「検察に自民党中枢を揺さぶる事件は無理」 「闇の番人」田中森一(1)

 東京、大阪両地検で特捜検事として、撚糸工連事件など大事件を手がけた田中森一氏。弁護士転身後は、故宅見勝・山口組若頭の顧問弁護士を務めるなど裏社会の番人に。石橋産業事件で逮捕され服役し昨年11月に出所した。バブルの狂乱をオモテとウラから見てきた田中氏が、現代への教訓として、お金の闇、事件の闇などのすべてを語り尽くす。

裁判所以外はみな頭を下げに来る


田中森一氏
 田中が検事に任官したのは1971年、最初の赴任地は佐賀地検、28歳のときだった。

 「驚いたのはわしのような新米検事に県庁の幹部職員や各警察署や消防署の署長が、列をなして挨拶に来たことだった。

 検察庁は権力の要なのだ。警察が調べた事件を起訴し裁判を維持するのは検察庁だ。国税庁のマルサも事件の処理は検察庁に委ねる。海上保安庁も営林局も郵便局も消防も、あらゆる国家機関が検察庁に相談に来る。裁判所を除いて国の機関は検察庁に頭を下げる」

 田中は86年、東京地検特捜部検事を任官、特捜部時代事件を語った。そこには検察とは何かが、垣間見える。

 まず、国会議員への贈収賄事件へと発展する撚糸工連事件。

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