「餃子の王将」社長殺害事件と創業家が残した「古傷」

 「餃子の王将」を展開する王将フードサービスの大東隆行社長(72)が銃で殺害され、社会に大きな動揺を与えているが、いまだ犯人の正体や犯行の動機にいたるなど、事件は謎に包まれたまま。そんな中、現在、マスコミが調べ始めた創業家の過去の「古傷」となるトラブルも浮上している。それらを振り返ってみた。

九州の一件も浮上?

◆89年 大阪市中央区の繁華街にある王将戎橋店で火災が発生し、ビルのオーナーが死亡した事件は大阪ではよく知られている。これは後に損害賠償を請求されることになるのだが、この紛争の解決を仲介者に依頼し、金銭を渡している。

◆98年 創業家社長のほぼ独断で、子会社を通じて九州地方のゴルフ場「福岡センチュリーゴルフクラブ」の設計会社に約89億6000万円を貸し付けた。

◆99年 大阪国税局から約1億7000万円の申告漏れを指摘され、追徴課税を受けるなどしている。

 関西以外も関連しているため、この事件を調べているのは、事件現場でもあり、地縁のある関西のマスコミだけではないということ。九州のマスコミにも一部動きがあるのだ。

 九州のマスコミ関係者は「こちらの警察も(殺害事件の発生には)驚いていました。ただ、その線(福岡センチュリーに)ついては警察の関心はひじょうに薄いようです。というのも、融資を受けた人物はもう過去の人の上に、金銭面では解決していますから。(犯行の)手口からすれば、少なくとも数十億円規模以上のトラブルがあるのではないか、と(警察は)見ているようです」と話す。だが、こちらの線は本命には浮上しそうにない現状で、事件をなお、難しくしている。

 ここまでは、創業家である「加藤家」の古傷。大東氏とは基本的には関係がない。ただ、2000年に社長になってからは、それまでに膨れ上がった有利子負債約470億円を減らした上で、負債額よりも少ない売上高を増やしていくという粗治療をしなければならなかった。その過程で、何らかのトラブルがあった、とでも推察する以外には何も思い浮かばない。

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