富裕層85人の資産だけで世界の半分(36億人分)の富に相当

 世界の富裕層の上位1%である85人の総資産が、全世界約71億人の下位半分の資産を占めるということが、国際NGOオックスファムがダボス会議に先立ち発表した、経済格差に関する調査報告書「Working for the Few – Political capture and economic inequality (少数の利益のために―政治権力と経済格差)」の中で明らかになった。

 調査報告書によると、富裕層の上位85人の資産総額は110兆ドルで、日本円にして1京円を超える計算になる。つまり、下位から約36億人分に匹敵するということだ。

 ちなみに、フォーブスの長者番付で見ると、85番目は、著名ヘッジファンド「ルネサンス・テクノロジーズ」創業者ジェームズ・シモンズ氏(75)の120億ドル、BMW創業家のステファン・カント氏(47)の119億ドルが相当する。このあたりは、すでに1兆円ホルダーのレベルとなっている。


 所得税は世界的には1970年代の後半から、上位陣の累進課税率が減少している傾向にあり、こうした政治的な意思決定プロセスに対して、同事務所は富裕層や企業を「不当な影響を持っている」という見解も示している。

 また、タックスヘイブンを使用した租税回避についても言及。「グローバルネットワークは増加し、経済的な不平等に大きな意味を持っている。富を人目に晒さないことによって、社会に還元するお金の量が減少する」としている。

 タックスヘイブンに流れた資金は、保守的に見積もっても、総額で21兆ドル(約2100兆円)なるのではないか、としている。

 同事務所は、ダボス会議で格差是正のために次の呼びかけを行う。
・累進的な課税を推進し、自らは決して租税回避をしないこと
・民主的な決定プロセスを無視して自分の富を政治的に利用しないこと
・自らが実質的所有者となっている会社や信託への投資は全て公表すること
・自国政府に対し、税収を保健医療、教育、市民の社会保障へ使うよう働きかけること
・自らが所有または支配している会社に対し、生活賃金を払うよう要求すること
・経済界の他の有力者に対し、これらの誓約を宣言し守るよう働きかけること

 一方でこんな意見もある。ビル・ゲイツ氏は、ビル&メリンダ・ゲイツ財団の年次書簡の中で、2035年までには地球上から貧困がなくなる、という見解を発表している。これは、下位国でも1人あたりの個人所得は増加傾向にあり、継続的な政府援助や富裕層による寄付、さらには貧しい子供たちへの人道救助による人口増大の抑制などが寄与してくるというものだ。

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