30代女社長の転落、かつては5000億円のIT長者夫婦

 東京地検は、経営破たんしたインデックスで粉飾決算を行ったとして、金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)の疑いで、同社会長の落合正美容疑者(54)と社長で夫人の善美容疑者(48)を逮捕した。一時は夫婦の資産総額は5000億円にも上った大富豪で、インターネットコンテンツ配信という生き馬の目を抜く業界で「夢」は実現したが、あまりにも早い凋落だった。

長年の夢を結実しMVP

 「犬と会話ができればどれだけいいか」。

 無類の犬好きであった善美容疑者が、よく口にしていた言葉だという。しかも、かなり前からこうした思いを抱いていたそうだ。ビジネス相手でも、犬が好きだと知ると急に打ち解けるというのだ。当時のある取引先企業の営業幹部は「仕事中でも、あいさつ代わりによく犬の話題が出たし、いっしょに犬の散歩をしないかと誘われたこともあります」という。

 もちろん、知っての通りこの情熱は「バウリンガル」というタカラトミーとの共同開発製品で結実し、2002年に大ヒット商品となった。善美容疑者は、36歳で上場企業最年少女性社長にもなり、バウリンガルのヒットなどの功績で2003年に日経ウーマンのウーマンオブザイヤー大賞を受賞している。

 今となっては、バウリンガルと聞いても、そんなものもあったな、という程度の認識の人が多いだろう。この機械自体が、犬との意思疎通こそできないが、数種類の感情から、どういう感情かわかるというものだ。だが、当時としては画期的な商品と受け止められたことは事実で、ある意味で、長年の「夢」は叶えたのだった。

 一橋大学から日商岩井に入社した、いわば才媛。その夢の実現に道筋を開いたのが、後の夫となる正美容疑者だ。上司部下の関係から、会長と社長としてインデックスでいっしょに仕事をすることになった。

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