中国富裕層1335人、カナダ投資移民廃止で政府を提訴

 カナダ政府が、投資移民制度を廃止すると決定したことについて、香港の投資移民申請者1335人が、カナダ当局に対して制度廃止決定の撤回を求めて、損害賠償を求める訴訟をカナダを裁判所に起こしたことが、サウス・チャイナ・モーニング・ポストの報道でわかった。原告のほとんどが中国メインランドの人だという。

 サウス・チャイナ紙によると、すでに6万件以上の投資移民制度の申請があるものの、審査は現状ではストップしているという。この訴訟で原告が求めているのは、カナダ政府が投資移民制度廃止の決定を撤回する、もしくは、総額500万カナダドル(約4億8000万円)を賠償金として支払うことだという。


 カナダの投資移民プログラムは、自国の経済を発展させる事を目的に1986年にスタートした。80万カナダドル(約7500万円)を現地政府に無利子で5年間融資した場合、永住権を獲得できるが、実際には大半が中国人からの申請というものだった。

 しかも中国人はカナダに住まないことも多く、始末が悪いものは、偽造書類も横行したこともあった。こうしたことが背景にはある。一方で、ケベック州はフランス語さえできれば、中国人でも門戸を閉ざしておらず、カナダ投資移民制度のすべてが終わったわけではない。

 ウエルスX、アートン・キャピタルの共同調査によると、投資移民や第二国籍によって海外に移転する資産の総額は約16兆ドルに上るという。これは、米国のGDPにも匹敵する。

 投資移民の対象と考えられる資産30億円以上の超富裕層は、中国、インドだけで約7分の1を占める。今後もさらに数が増えることは確実で、英国、豪州、NZなどの投資移民制度の推進派、カナダなどの反対派と国によっては対応が分かれそうだ。

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