2000億円の集団租税回避スキーム、顧客リストにジョージ・マイケルの名前も

 1990年代後半から2000年代前半まで税務コンサルタントによって行われていた大規模な租税回避スキームで、英タイムズ紙がその顧客リストを明らかにし、著名アーティストのジョージ・マイケルさんや、アークティックモンキーズ(Arctic Monkeys)が含まれていることがわかった。1600人、合計額12億ポンド(約2082億円)という大規模なスキームだった。


ジョージ・マイケルさん(85年)
 顧客数1600人が総額12億ポンドを、「リバティ」と呼ばれる租税回避スキームを使って、課税を免れていたという。オフショアのタックスヘイブンを利用するもので、すでに当局から止められて2008年にはストップされている。

 タイムズによると、ジョージ・マイケルさんは、約620万ポンド分を使用しており、コンサルタントに44万3000ポンドを手数料として支払っていたという。手数料は、租税回避総額の約8%程度の金額にあたる。

 現在は英国の所得税率は最高で45%となっているが、90年代の最高税率はで40%だった。本来であればマイケルさんは、約250万ポンドを納税しなければならなかった。かなりの節税が行われたことになる。※この件はすでに修正申告などは行われているという。

 また、さらに著名アーティストの名前も挙がっている。ベテラン俳優マイケル・ケインさん、著名アーティストゲイリー・バーロウさん。さらには、人気女性アーティスト、ケイティ・メルアさんも 85万ポンドを租税回避し、約6万ポンドの手数料支払いを支払ったそうだ。

 アークティックモンキーズも、メンバー4人は合計で、55万7000ポンド~110万ポンドをスキームに入れて、それぞれ、3万8000ポンド~8万4000ポンドの手数料を支払っていたという。

 こうしたスキームは同じ業界内部で拡大する傾向にあり、誰かが紹介役を買って出たと思われる。日本でも過去に、名古屋市の経営コンサルタントらが所得税の一部を免れるために、プロ野球選手が架空の顧問料を計上するなどして課税を免れていた事件があった。97年に発覚して、10人が起訴され、有罪判決が降りたこともある。こうしたスキームも業界に食い込むと、紹介で広がっていく傾向にあることがわかる。首謀したとされる選手は、紹介料を受け取るなどしており、3年の執行猶予がついた有罪判決が下っている。

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