インド人超富裕層4年後に3倍の34万人に

 インドの超富裕層人口が現在の11万7000人から、2018年には34万3000人と3倍になることが、コタック・ウエルス・マネジメントの調査で明らかになった。資産は104兆インドルピー(176兆2672億円)から、408兆インドルピー(691兆5099億円)で約4倍に増加する見通しとなっている。インド人富裕層の間で投資が伝統的に人気がある不動産投資から、株式投資やPE投資への移転も起きつつあり、リターンによってはさらに急上昇の可能性もある。

 この調査では、超富裕層を資産2億5000万インドルピー(約4億2400万円)を保有している人と規定。2014年現在で11万円7000人となっている。経済に波はあるものの、毎年2割前後のペースでその人口は増加しているようだ。

◆年度ごとのインド人超富裕層人口と総資産額
10~11年 6万2000人  45兆インドルピー(76兆2694億円)
11~12年 8万1000人  65兆インドルピー(110兆1670億円)
12~13年 10万900人  86兆インドルピー(145兆7594億円)
13~14年 11万7000人 104兆インドルピー(176兆2672億円)
18~19年 34万3000人 408兆インドルピー(691兆5099億円)

 2018年には34万3000人で14年から人口は3倍、資産規模は約4倍となった。1人あたりに換算すると資産は15億円強から、4年後には20億円強となる。急成長の要因の一つとして、従来の富裕層の相続、医師などの専門職だけではなく、起業家の台頭が大きく、特にIT分野、医薬品分野などでの新勢力が日々出てきていることが、活性化を生んでいるようだ。

 ちなみに6タイプの超富裕層のペルソナも設定されているので挙げておく。

・旧世代起業家 大卒、40歳前後、核家族、オルタナティブ資産

・投資家 大卒、小さなマンション住まい、保守的な投資、株&不動産

・資産家 専門学校、不動産投資、ワークライフバランス重視

・相続起業家 40歳前後、生まれが裕福、仕事中心、家族や友人が投資選択に影響

・新世代起業家 30歳前後、大卒、仕事中心、自己決定、アクティブ投資

・相続資産家 30歳前後、大卒、バランス型ポートフォリオ


印大富豪ムケシュ・アンバニ氏の挙式
 若い世代の台頭により、資産運用は保守的なものだけではなくなってきている。従来のデータでは、インドの富裕層のうち約30%が資産の50%以上を不動産に向けているという(バークレイ・ウエルス調べ、サウス・チャイナ・モーニングポスト報道)ほど、不動産信仰が強かった。不動産の方が長期的な利益を得ることができるという考え方が一般的であったからだ。

 6月23日付けのブルームバーグで「手数料支払うのはもったいないと富裕層-運用会社インド撤退 運用会社の撤退について」という報道がある。これは、海外からインドに進出した運用会社の苦悩について書かれているものだが、理由として「当局の取り締まり、ルピーの兌換性の低さで、不動産投資が選好されることが課題である」としている。

 だが、コタックの調査に話を戻すと、最近の超富裕層のアセットアロケーションは不動産から株式に移りつつあるようだ。その比率は次のようになる。

     株 債券 不動産 オルタナティブ
2010年 34% 20% 37%  9%

2011年 34% 29% 30%  7%

2012年 35% 32% 29%  4%

2013年 38% 24% 29%  9%

 不動産は割合を徐々に減らし、株式は毎年のように徐々に上昇している。もちろん、高級不動産は現在も一定の人気があり続けているものの、株式への比重は大きくなっている。また、4分の1がPEもポートフォリオには加えているといい、2008年以降、拡大基調だという。

 コタックは、株式の増加については、流動性を高めることと株式市場が低迷していることで投資をしやすい環境があると見ている。

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