正味財産10億円「盛田正明テニス・ファンド」の運用益

 プロテニスの錦織圭選手がアジア人として初のATPツアーファイナルに出場するまでになったが、その活躍を大いに支えた「盛田正明テニス・ファンド」の名前がクローズアップされるようになった。ついに投資が結実したわけだが、資産総額10億円超のこの財団法人格は一体どのようなファンドなのか。

正味財産10億円超、純利益約1億円

 会長の盛田正明氏は、東京通信工業(ソニー)創業者盛田昭夫氏の実弟で、後に同社副社長、日本テニス協会名誉会長などを歴任した。個人の私財を投げ打って立ち上げたファンドで、後に税制でも優遇されるため内閣府所管の公益財団法人に移行した。

 テニスの後進を育成するためのものだが、ただ、そんな緩いものではなく、目的はただ一つで、世界トッププレーヤーを育てるためのものだった。初期ソニーをよく知るだけに、いい意味で独創的と言えばそれまでだが、「10年先」「誰もやらないことをやる」という共同創業者の井深大氏らしさを受け継いでいるかのようだ。

 同ファンドの財産目録によると、資産は合計で約10億4100万円。負債は0円という超優良公益財団法人だ。基本財産は、引当有価証券が約9億円で、あとは円、ドルの預金が中心だ。

 パワー・リバース・デュアルカレンシー債(30年債)を1億円分、特定基金引当有価証券を約9億円分保有している。一般的には両方とも定期預金や国債よりも利回りは良く、リスクとしては一定以上の円高・円安になると利率0%もあり得る。

 資金調達の見込みと設備投資の見込みの予定はない。

 また、昨年1月~同6月末までの損益計算書によると、売上高は約1億3123万円。支出は約3300万円で、売上高の内訳は次のようになっている。

基本財産運用益 925万円
運用財産運用益 8400万円
寄付金収入   965万円

 支出に関しては、約3300万円の内訳は遠征費、業務委託費、渡航準備費、選考費、教育費、管理費が含まれている。それで当期純利益は約9800万円となる。

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