ソフトバンク個人向け劣後債は瞬殺か

 ソフトバンクの個人投資家向けの劣後社債の募集が4日から始まる。債券市場が低金利にある中で利率を2.3%~2.8%に設定されており、業界関係者は「絶妙な募集タイミングで、瞬殺(募集開始とともに売り切れ)もありうる」としている。

 事業会社としては個人投資家向けの劣後社債発行は異例のこと。発行額4000億円の資金の向かう先は、ボーダフォンの買収に充てた優先出資証券の償還と、今後の新興国向けのM&A戦略となる。有利子負債は2011年には5472億円まで減少したものの、現在は9兆円を超え、自己資本比率は11%台まで低下している。この社債の格付けは、JCRからBBB+を取得予定だという。

 JCRによる今年9月時点のソフトバンクの長期債格付けはA―だった。S&PはBB+、ムーディーズはBa1とそれぞれなっている。

 ソフトバンクは個人投資家向け社債発行を盛んに行うようになっているが、大手証券マンは「機関投資家は一定以上の格付けがなければ投資しにくいこともあり、現状を見れば個人向けにしたのは正しい。TVCM人気、孫正義氏の人気、ホークス人気など個人投資家に好かれる材料は揃っている。この2%台の利率も考えれば、かなりの需要はあるはず」と見ている。

 昨年のスプリント買収などをはじめ昨年は何かと資金が必要だった。米Tモバイルの買収協議こそ失敗に終わっているが、過去のアリババの投資が大成功しており、まだまだ個人投資家への影響力の大きさは侮れない。

 一般的には劣後債はデフォルトリスクも普通債よりも大きくなるが、人気を呼ぶと見られている。

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