【大塚家具】久美子社長勝利も、身内批判の株主総会に株主は「売る」と激怒

 父娘による創業家で紛争が起きている大塚家具の定時株主総会が27日、東京都内で行われ、
議長・大塚久美子社長(47)に対して、創業者で筆頭株主の大塚勝久会長(72)と、千代子夫人が株主として出席し、戦いを挑んだ。肉親の情に終始した質問には何ら建設的なものがないと判断されたのか、長女の社長側の案に対して61対39で賛成が上回り、勝久氏の株主提案は受け入れられなかった。

 約200人の株主が出席して行われたこの日の大塚家具の株主総会。執行部の長女・久美子社長に対して、創業者の父・勝久会長と千代子夫人が株主として株主提案を出して挑むという異例の戦いが繰り広げられた。この委任状争奪戦の戦前の票読みでは、五分五分とも見られていた。また、社員株主は4割が棄権し、残りは自主投票となったという。

大塚勝久    350万株 18.88%
ききょう企画  189万株 10.21%
日本生命    114万株 6.15%
日本トラスティ信託 91万株 4.94%
東京海上日動  62万株  3.37%
三井住友信託  57万株  3.08%
従業員持株会  55万株  2.98%
大塚春雄    55万株  2.82%
ジャックス   48万株  2.59%
ノーザントラスト38万株  2.10%
※敬称略

 会社提案は、久美子社長をトップとし、二女の夫・佐野春生氏、二男の大塚雅之氏らを中心とした経営陣。一方で、勝久氏が出した株主提案は、勝久会長をトップとして、長男・勝之氏を中心とした経営陣になる。

 勝久会長は質問に立ち「権限をわたしからすべて奪っておいて、さらに会議には参加させない。(久美子社長は)5年間もそうやってきた。(会社の)復活はいまのメンバーには無理で、わたしにしかできない。わたしはワンマンではないし、そうでなければ今まで社員はついてこなかった」と訴えた。

 また「佐野取締役は二女の旦那だが、家も何もかも用意しました。それがクーデターの張本人です。社長もそうですが、雨風をしのげるようにと妻が家を与えました」などと、肉親の情に訴えかけるなど、会場から失笑も漏れた。

 ちなみに、久美子社長の千代田区内のタワーマンションは、大部分が母親名義であることは不動産登記からも確認できる。

 興奮し不規則な発言をする勝久氏に、久美子社長は「御静粛にお願いできますでしょうか」と制止する場面もあった。「貴重なご意見ありがとうございました」などと返した。

 また、母の千代子夫人も質問に立ち「昨年7月、(取締役会で)7人中5人の賛成で『わたしは辞任しない』と退任しましたね。そのあとすぐに、(大株主の)ブランデス・インベストメントに電話をしましたが、そういうことはいけませんね」と暴露を続けた。

 他にも退任したあと、総会前に一部の記者を集めてパーティーをしたこと、社内に監視カメラを多数設置したことなども述べた。久美子社長は「様々な事柄で事実に基づかないこともございます」と否定している。

 また、一族に対しては専務で長男の勝之氏に対しても外部の株主から「勝之さん、お父さんにくっついているだけじゃないですか。あなたにその器はない」という厳しい指摘も出るなど、一族内の争いへの嫌悪感を表すようでもあった。

 3時間以上のロングラン総会となったが、内容で見るべきものはほぼなかった。すでにニトリ、イケアなどにシェアを奪われて競合他社に押されている中で、既定路線を走ろうとする勝久氏よりも、若い久美子氏に任せようという株主が少しだけ上回ったという印象だ。だが、勝久氏は戦いを挑む意思をすでに示しており、これで終わったわけではなく、歩み寄りは遠そうだ。

 総会について、出席した株主たちは不満の声を次のように漏らしている。

 「社長も会長も、インサイダー取引を起こした時や、業績が落ちてきた時も、我々株主の
意見など何ら聞いてこなかった。株主説明会もこれまで行わなかったのに、それが、今になって話を聞いてくださいとは、ムシがよすぎる」(60代、男性)

 「会社が変わっていかなければならないという危機意識で、若い久美子社長の方が有利だったように思う」(40代、女性)

 「結果、配当が2倍になるが、それでも全然喜べない。会長より社長の方がマシというだけで、何の解決にもなっていない。将来の具体的な改革案なども聞きたかったのだが、それもない。配当をもらうだけなら、別に他でもいい。もう売る」(40代、男性)

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