銀座のレジェンド「秀ママ」脱税で引退 「銀座タックスヘイブン」時代の終焉

 日本最大級の繁華街で高級クラブがひしめく東京・銀座。名物ママとして知られた、秀ママこと、佐藤成子氏(69歳、源氏名:中田秀子)が、二度目の脱税でこのたび罰金刑を受け、銀座の夜の街からの引退を宣言した。40年の長きに渡って君臨してきた「レジェンド」の引退。さらには、一部では銀座は「タックスヘイブン」とも呼ばれてもいるが、国税庁の姿勢のより一層の厳格化、売上の減少など、時代の終焉でもある。

白金台の豪邸、ジャガー

 「生きる夢も希望もありません」。

 か細い声を絞り出した秀ママに、かつての姿はなかった。こんな言葉を吐く姿を想像するものは銀座の街では誰もいないだろう。東京地検での取り調べでも、行き帰りは自身の足では歩くことができないくらいに憔悴し、病院に長期入院もしたほどだという。

 千葉県の房総半島で生を受け、20代で銀座の街で職を得て、自分自身の店舗を持ったのが30歳そこそこ。「秀ママ」と呼ばれ、以降はリッツクラブ、クラブマンダリンなど複数の有名店を経営するまでになった立志伝中の存在でもある。


秀ママの自宅
 大企業の役員や、オーナー社長、セレブら数多くの富裕層たちを上顧客に持ち、港区・白金台には御殿と呼ばれる豪邸(節税目的か関係者への管理会社に賃貸?)を構えてもいる。年収は定かではないが全盛時には数億円はあったのではないかと見られる。店の売上、さらにはチップ、プレゼントなどを合わせれば正確にはわからない。

 その秀ママの印象は「どんなお客さんも秀ママの言うことは聞くらしく、表の人も裏の人も誰も逆らうことなどできない絶対的な存在だと聞きます」(銀座の業界関係者)。高級車を乗り回し、高級品を身にまとい、フェラーリや最も新しいところではジャガーが愛車だったという。

 ただ、出るお金に対しては細かい性分だったようで、あるホステスによると、懇親会費を集めるという名目で天引きするなどしていたという。だが、ホステスへの御祝い事などは実際にはなかったそうだ。それでも、秀ママがにらみを利かせれば、ホステスから文句など出なかったが、そのホステス給与の源泉徴収の一部を申告せずに「つまみ納税」を行っていた。

 2008年に2億4000万円を脱税したとして、有罪判決を受け(4年の執行猶予付き)、その猶予期間中に同じ手口で過ちをおかし、今度は1億7000万円を脱税し、罰金刑になった。

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