狙われる「シニア富裕層」の名簿

 シニアの富裕層の顧客データの需要が高まっているのだという。

 週刊ダイヤモンドには「若い人よりもアンケートに対してまじめに記入してくれるのでデータが取りやすい」という、広告代理店社員の声も紹介されている。購買力が高い富裕層で、しかも時間などに余裕のあるシニアということで価値が高まるのか。

 ある富裕層シニア向け雑誌の事例では6万部のDM配信は90万円だというから、シニア富裕層の個人情報が1件15円ほどのカネを生んで計算になる。これを高いと見るのか、安いと見るのか。これは単純平均した単価であるが、富裕層の名簿の中にも業者側から見て価値は分かれる。 

 40代のある富裕層にはここ1、2年の間に、ワンルームマンションなど投資用不動産、他には、実在しない病院債券(振り込め詐欺の可能性大)などの電話営業があったそうだ。

 心当たりは、自身が富裕層ではなかった数年前に不動産の名刺交換商法の相手をしたくらいしか心当たりはないという。つまり、その時の個人情報が、回りまわって違う業者の手にもわたっているということをも意味する。断っても別の業者から電話が掛ってくるので、無視をするそうだ。

 もう購買意欲はゼロで、業者側から見ればこういう名簿は価値はないだろう。

 だが、兵庫県内では過去に、地元の富裕層子弟も多く通う関西学院の中学部、高等部の名簿が使われていた振り込め詐欺の事案が起きたこともある。「お孫さんが交通事故にあった」などという文句で、お金をだまし取ろうとした手口だ。孫か子供かはともかく、いずれによ、その家族は富裕層である可能性を考えての狙いだろう。ちなみに、この事件は関学大の同窓会で問題視されたこともあったという。

 シニア富裕層の個人情報は、属性、購入履歴や興味・関心などの情報を組み合わせることで、よりハイブリッド化していき、価値を高めることで闇から闇に転売されていく。

 まさか、こんなものでシニア富裕層が本当に引っ掛かるとは思えないが。

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