1000億円持っても「こんな孤独は初めて」マインクラフト創業者が心情を吐露

 「何でもできるのに、これほどまでの孤独感をいままで感じたことはない」。

 大人気ゲームソフトのマインクラフトの開発者で現在は大富豪のマーカス・ペルソン氏が、大富豪の不安を代弁するかのように自身のツイッターに吐露しており、多くの知人、ユーザーを巻き込んでいる。資産は2500億円以上あるにも関わらず、リゾート地で友人らとパーティーをした際に心情を吐露したツイートが連投されており、考えさせられる内容となっている。

 マインクラフトの開発元であるスウェーデン企業「Mojang」(モヤン)の創業者で、会社をマイクロソフトに25億ドルで売却している。急速にビジネスが拡大しすぎて、手に負えなくなったことが売却の理由だとしている。現在36歳で、総資産額は13億ドルとされ、米ビバリーヒルズに同地では取引史上最高額とされる7000万ドルの大豪邸を構えている。

 特に公の活動は伝わってはいないものの、時々、気ままにツイートをしているようであったが、ついに心情を誰かに聞いてもらいたくなったのだろうか。「何でもできるのに、これほどまでの孤独感をいままで感じたことはない」と投稿した。さらに、つぶやきはそれだけにとどまらなかった。

「とても素晴らしい女性と出会った。でも、彼女は私や、私のライフスタイルを恐れ、普通の男性と●●になったようだ」

「私は会社を売却した時には、従業員には可能なかぎりのケアをしたが、今ではみんなから嫌われているよ」

「すべて得たことによる問題は、新たに何かをしようとする理由がなくなってしまうことだ」

「突然に成功した人は、それが普通になって、そのうち慣れてくるとアドバイスをくれた」


 どれも正直な心情を明かしたものだと思われるが、ボストンカレッジが2008年に発表した、超富裕層とお金のジレンマに関する研究によれば、資産2500万ドル以上(回答者平均資産7800万ドル)の対象者165人のほぼすべての人に孤独や不安が見られたという。もちろん、ペルソン氏は10億ドル以上の資産を保有する大富豪なので資産規模は、さらにケタ違いではあるが、お金がいくらあっても充足するということではないのだろう。

 UBSによる、投資資産100万ドル以上の富裕層2215人を対象にした調査では、築いた資産を守るためにハードワークを続けなければならないと6割以上が感じていることがわかっている。

 こうした調査は最初からどういう仮説や意図を持っているかによって質問項目の組み立て方も違ってくるために、必ずしも調査結果に反映されているかどうかは、難しい面がある。一方で「リッチキッズ」(トム・コーリー著)によると、233人の富裕層、128人の普通未満の人を対象に調査すると、富裕層の82%が幸せであると感じており、中低層の98%がそうでないと感じているそうだからだ。

 だが、お金は幸福を人類に長らく与え続けてきたが、持続的な幸福を達成するためには、それが絶対条件ではないということだ。

 「金持ちは大きな苦痛だ」と昨年述べたのは、資産2兆円以上を誇る中国一の大富豪であるアリババのジャック・マー会長。米CNBCのインタビューに答えたものだが、拝金主義がはびこる中国だけでなく、世界中で注目された。「周囲の人がお金目当てで集まってくる」と悩みを打ち明けた上で「お金を使うことはお金を稼ぐことよりも難しい」と語っている。

 ペルソン氏も過去、米誌フォーブスのインタビューに「パーティーは楽しいけど、狂った金の使い方だ」と答えている。奇しくもそのパーティーの場に出かけ、寂しさをツイートしてしまうという皮肉なことになっており、よほど寂しさを紛らわせたかったのかもしれない。

 最後に興味深い調査結果を紹介しておくことにする。米調査会社スペクトラムグループのある調査では、米富裕層の58%は犬をペットとして飼っているのだという(猫37%)。その理由の一つとして、他のペットよりも親しみが持ちやすいことと、「無条件の愛」というものが挙げられていた。いくら賢いとは言っても、お金で人間を判断するところまでは無理だろうから、かわいがる気持ちはよくわかる。

 結局、お金の使い方は自分で答えを出すしかない。

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