日本から国外移住しても、やっぱり死ぬのは日本がいい? 死ぬのに一番いい国ランキング

 死に場所で最適な国はどこか? 英誌エコノミストの調査部門がこのたび、死を迎える最適な国を決める指標となる「Quality Of Death Index」を発表し、1位は英国だった。日本は14位で前回の2010年の調査の23位から大きく順位を上げている。

 国外移住も多くなって国境の概念が薄くなりつつある現代だが、さすがに死に場所までは考えてはいまい。それでも、死という深遠なテーマからは避けて通ることはできない。国籍を有する自国の環境を他国との比較によって、その位置付けを掴むことができる。この調査は、OECD加盟国など80カ国が対象となり、次の4項目をポイント化して採点したもの。

緩和ケアや終末期医療の環境  20%
医療人材の教育        20%
ケアの質           30%
終末期のコミュニティの理解度 10%
※%はポイント配分

 そしてランキング上位10カ国は次のとおりとなる。

1 英国       93.9
2 オーストラリア  91.6
3 NZ       87.6
4 アイルランド   85.8
5 ベルギー     84.5
6 台湾       83.1
7 ドイツ      82.0
8 オランダ     80.9
9 米国       80.8
10 フランス     79.4
11 カナダ      77.8
12 シンガポール   77.6
13 ノルウェー    77.4
14 日本       76.3
15 スイス      76.1

 おおむねGDPのレベルに沿って、アジアよりも欧米が高い傾向にある。豊かな国は一般的に洗練されたヘルスケアサービスを行っているからで、中国71位、インド67位と特に新興国はまだまだ順位が低い。理由としては、医療制度に終末期医療を組み込んでいない国が多いと指摘されており、人の寿命が延び、高齢者が増加していく過程で、今後は需要が大きくなっていくだろう。

 また、総合点では平均的になっているが、項目ごとに見ると違った面も見えてくる。日本は終末期のコミュニティの理解度は高く5位と高くなっており、そのほかは総合ランキングよりも順位は下がる。英国とオーストラリアはどの項目でも高い順位にあり、総合点の高さを裏付けている。

 ちなみに、日本は2010年の同調査で総合23位だったが、基本的な終末期の環境という項目においては、日本はスイスに次いで2位だった。今回2015年の調査にはまったく同じ項目は見当たらないものの、一般的に「死に場所」として適した国であると言うことができそうだ。

 その際の調査では、こうした理由を「政府が高齢者医療に力を入れている」との見解を示している。しかし、現在はさらに5年が経過して高齢化はさらに進行している。日本の2013年度の国民医療費は初めて40兆円を超えて7年連続で過去最高を更新している。やはり、新興国とは逆で高齢化が進んでいるために、環境を整えるために予算をつぎ込んで対応してきた証だともいえる。

 そんな中で、米国では先日、カリフォルニア州で「死ぬ権利」が認められたばかり。安楽死の合法化した州はこれで5となり、これまでたびたび否決されてきた反対派の牙城でもあるカリフォルニアで認められたことは今後の世論にも影響を与えそうだ。

 また、安楽死が認められているスイスは日本より順位が低く15位。医療ツーリズムの一環として「安楽死ツーリズム」なるものもあり、あっせん団体のようなものもある。ただし、近年は問題視されるようになり、国民投票にもはかられるなど、結果的には反対にはならなかったものの、積極的に安楽死を働きかけることは避ける傾向にあるという。オランダには安楽死専門のクリニックも存在する。

 日本国内の65歳以上の高齢者割合は25%超、麻生太郎副総理兼財務相が「さっさと死ねるように」と発言したのは2013年。日本ではこうした話がタブーとなっているが、タブーでなくなる日が来る可能性もありそうだ。



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