33億円でもまだ安い? 伝説のファンジオのフェラーリが競売に

 神格化されているF1ドライバーのファン・マヌエル・ファンジオ氏がレースで乗るために製造された「フェラーリ290MM」が12月10日の米NYで開催予定のオークションに出品されることが主催者サザビーズから発表された。出せば高騰する傾向が続くフェラーリのクラシックカーだが、今夏の落札予定価格は2800万ドル(約33億8000万円)だとしている。


フェラーリ290MM(サザビーズより)
 「聖杯に等しい」。フェラーリ290MMについて、サザビーズの案内の表現にはこう記されているほどで、高額落札はほぼ確実視される。

 サザビーズのヴィンテージカー担当のピーター・ウォールマン氏は「歴史上で最も偉大なドライバーのためにつくられ、エンツォ・フェラーリも直接的に関与した車。その起源と独創性のある車が、オークションに出てくることは本当に望ましいかぎり」だと評している。

 ミハエル・シューマッハ氏が現れるまで誰もその記録の影を踏ませることはなかったファンジオ氏。290MMは1956年に行われたイタリアの自動車耐久レースのミッレミリアに出場した際のマシンだ。ファンジオ氏がレースで乗ったのはこの1回きりだったが、その後も名ドライバーたちが乗ったことでマシンはさらに箔付けされていった。レースから離れた後は、エンツォ氏の友人ルイージ・サネッティ氏、フランス人著名コレクターのピエール・バルディノン氏の手に渡り、現在は匿名のコレクターがオーナーとなっているという。

 近年の5、60年代のフェラーリのヴィンテージカー人気が再燃しており、次々と高額落札が相次いでいる。最高額となったフェラーリ250GTO(1962年)をはじめ、主な高額落札車は次のとおり。
 
・フェラーリ250GTO(1962年) 3811万5000ドル

・フェラーリ275GTB/Cスペチアーレ(1964年) 2640万ドル

・フェラーリ375MM(1954年) 1840万ドル

・フェラーリ250GTカリフォルニアSWBスパイダー(1961年) 1683万ドル

・フェラーリ250テスタロッサ(1957年) 1639万ドル

・フェラーリ250LM(1964年)1430万ドル 

 高額なことは間違いないが、ヴィンテージカー専門の保険会社ハガーティが算出した、ヴィンテージカーの市場の過熱度を測る指標「Hagerty Market Rating」によると、今年10月は70.61だという。

 今年5月には統計をスタートしてから史上最高の72.05になったが、現在はやや落ち着き気味になっている様子。夏場を境に景気の行方に悲観的な見方も出たことが影響しているか。いずれにせよ、予想を上回る可能性も十分にありえる。

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