相続で関心高まる「遺言代用信託」メリット、デメリット

 「遺言代用信託」の契約件数が今年に入って10万件を超え、さらには通信販売も出るなど、相続税の課税が強化されたことで今後もさらに関心は高まりそうだ。もちろんメリット、デメリットの両面あるが、いま一度両方を見ておくことにする。

 遺言代用信託とは、その名のとおり、信託銀行などの金融機関が遺言書の作成から、相続発生時に遺言書の内容どおりに遺産整理などのサポートを行うというサービス。最近は、相続税対策だけではなく、若年性認知症などのリスクも考慮して選択肢の一つに検討されてもいるという。

 一般的には、下は100万円、200万円くらいから上限は3000万円くらいまでのプランを示している金融機関が多いようだ。では、主なメリットとデメリットを列挙しておく。

◆メリット
・遺言書作成のサポートを受けることができる
・遺言書の管理を任せることができる
・遺言の執行、現金の引き出しなどもスムーズに行うことができる

◆デメリット
・金融機関などに費用が発生する
・現金以外の不動産などの資産は別途に費用が発生する
・相続争いが発生してもサポートはなし

 3000万円以下の場合はメリットも大きいように思える。というのも、遺言書の作成や手続きもスムーズで、しかも、名義人が亡くなった後も葬儀費用などすぐに必要な現金の引き出しもできる。

 ちなみに、富裕層や資産家向けのプランも記述しているので、りそな銀行のプランを以下に引用しておく。

【保管コース】
契約時の取り扱い手数料 30万円
遺言変更時の手数料   10万円
毎年の遺言書保管料   6000円

【執行基本コース】
契約時の取り扱い手数料 30万円
遺言変更時の手数料   10万円
毎年の遺言書保管料   6000円
契約解約時の清算費   15万円

 ただし、遺言執行する際の報酬については、最低報酬100万円が必要になる。ただ、執行する資産が多い人はこれ以上の金額が必要になる場合がある。

 預かり資産(預金、信託受益権、投信、有価証券など)の0.3%
その他の財産については、さらに別途次のようになる。
5000万円以下     2.0%
5000万円~1億円以下 1.5%
1~3億円以下 1.0%
3億円超 0.5%

 保管するだけであれば、それほどでもないが、億を超えるような多額の資産の執行の場合はそれなりの金額が発生することになる。もちろん、一方ではワンストップで整理はし易いという点もある。ただし、家族・親戚間で相続の紛争が起きた場合には、金融機関はそれに加わることはない。

 関心の高まりは今後も続いていくだろうが、自身はメリット、デメリットのどちらが大きいか慎重に検討した方がよさそうだ。

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