50億円、慶應幼稚舎、フェラーリ、広尾億ション、モデル妻、アメックスでも「富裕層」になれなかった清原

 覚せい剤取締法違反(所持)の疑いで警視庁に逮捕された、元プロ野球選手の清原和博容疑者(48)。高校球児の時からカリスマ性を持ち将来を嘱望され、通算本塁打525本という輝かしい成績を残したが「無冠の帝王」で失意のまま球界を去った。生涯で年俸総額50億円以上を稼ぎ、慶應幼稚舎(2人の息子)、広尾の億ション、モデル妻、フェラーリ、アメックスセンチュリオンとあらゆるブランドを手に入れているが、清原容疑者の心を満たすものではなかったようだ。

 心に空いた穴は、たとえ富裕層であってもお金をどんどん吸い取っていくようだ。

 「外角低めいっぱいをスタンドまで運ぶバットコントロールと踏み込みの鋭さ。さらに、インコースでも躊躇なく踏み込んでいく負けん気は、松井(秀喜)やイチローでもマネできない芸当。だから、彼らも尊敬し慕っていた。野村(克也)さんも清原に関して辛辣なコメントをよくしていたけど、自分や王(貞治)さんの記録を抜くのは彼だと思っていたくらいなので、それを裏切られた思いからだろう。本当にもったいない」


清原和博容疑者
 清原容疑者のことを、あるスポーツ紙デスクは評した。松井、イチローの両選手でさえも一目おいていたのは、天才たちをも惚れさせる天賦の才があったから。ただし、誰もが羨むほどの才能を持ちながらも、その割には恵まれた野球人生と言えるのかどうかは評価が分かれるところだ。個人タイトルこそ取っていないが通算本塁打525本、西武、巨人でそれぞれ日本一に輝いている。

 前出デスクは「練習していたのはルーキーの頃だけ。あとはそれまでの貯金で過ごしただけ」ともいう。それで525本塁打を打てる才能は驚異的としか言いようがなく、年俸総額で50億円以上を稼ぎながらも、野球を心底まっとうできたかどうか、どこかそうした後悔の念が残っていたのかもしれない。愛する巨人軍から2度裏切られたことも影響しているのかもしれない。

 人目もはばからずに泣いた1985年のドラフト。PL学園の僚友・桑田真澄氏が早大進学を公言しながら、清原容疑者が希望していた巨人に指名され入団したところから、密約があったともされ、もう心には穴が空いていたのかもしれない。その後は穴を埋めるように巨人入り、しかし、最悪の雰囲気のチームを作る元凶ともなってしまい、衰えもあってチームを追われた境遇は今も残る心の傷ではないだろうか。

 21歳の時に初めてフェラーリを購入し、それ以降はずっと新モデルに買い替えて乗っている。いつの時点で手にしたかはともかく、アメックスセンチュリオンのホルダーにもなった。

 持ち物だけを見れば絵にかいたような成功者ではあるが、銀座ホステス歴10年以上の嬢によると、評判が悪かったのは、銀座や六本木で数百万円する腕時計や、アメックスセンチュリオンカードを見せびらかしたり、完全な成り金趣味だったことだ。お作法として嬢は客の自慢話は聞くが、自慢がすぎる客には蔭で激しく文句を言うもので、嫌いだという嬢も多かったという。富裕層歴の浅さ丸出しだ。

 モデルだった前夫人と結婚後には、広尾の億ションに住むようになった。子供の慶應幼稚舎進学のためだが、長男、次男の2人とも無事に慶應の門をくぐることができた。また、2人が野球をしていることは清原容疑者にとっては救いだったかもしれない。ただ、自分自身は暴力団との交際、消えないクスリの疑惑で、プロ野球界からは誰も相手にされなくなっていたという。「西武OBの監督はひじょうに多いので、(つながりを考えて)解説者としての起用を考えたTV局もあったそう」(同)というが、プロ野球関係の仕事で球場に足を運んでも誰にも相手にされていないため、起用にはいたらなかったという。その後はさらに、週刊誌でクスリ疑惑が報じられたことで、どこへ行っても半ば出禁状態であった。野球で生きてきた人間にとって、野球界からの疎外。それは大きなショックだったに違いない。

 引退後は、大手パチスロメーカーのフィールズ創業者が立ち上げた事務所に所属し、イベント出演などの仕事をこなしていった。ただ、無断で仕事に穴をあけることがしょっちゅうで、実質的に事務所をクビになっている。その後は独立し、パチンコ店の営業や公営ギャンブルのイベント回りをすることに。TVなどと違って拘束時間も短く短時間で稼げる仕事として好まれるが、イベント関係者によると、清原容疑者はパチンコ店回りでも「僕はやらないんで、よくわからないんですけどね」などと口にすることもあったという。営業回りなのに、リップサービスの一つもないということもあってか不評を買い、やがて声も掛らなくなっていった。

 家を出て行った夫人と2人の息子だが、これでは子供の養育費どころか、自身の生活費さえ賄うことができない。せめてもの救いは、売却できたという広尾の億マンションに息子2人名義で抵当権が付いていることか。腐るほどの金、そしてあらゆるブランドを手に入れてきた神童だが、本当に欲しいものは手に入らなかったのだろう。すべての資産を失った上に、元巨人軍4番打者という最大のブランドをも自らの手で傷つけてしまったことになった。

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