1台売るごとに5億円の赤字ブガッティが黒字に?

 1台販売するごとに5億円以上の赤字を垂れ流していた最高時速460キロ以上のモンスタースポーツカーブランド「ブガッティ」の新モデル、「ブガッティ・シロン」(Bugatti Chiron)は販売するごとに黒字化する見通しであることが、わかった。


ブガッティ・シロン(ジュネーブモーターショー)
 ジュネーブモーターショーで、ブガッティ社長のヴォルフガング・ シュライバー氏が技術系メディアの「The Verge」の取材にこたえたもので、シロンの価格240万ユーロ(約300億円)は現段階で設定できる最低ラインで、キャッシュを生むものだとしている。これまで売れば売るほど損だったが、黒字化するか、もしくは黒字化の見通しが見えた可能性がある。

 前モデルのブガッティ・ヴェイロン16.4の当初の価格は130万ユーロ(約1億6000万円)だが、これが開発費が途方もないことから考えると、高額車ながらも実は超低価格の値付けだったことがわかる。過去に米調査会社バーンスタインリサーチが行った調査結果で明らかにされているのだが、1台販売するごとに461万ユーロ(約5億8000万円)の損失が発生するという、世界最高速というスピードだけでなく、経済的にもモンスター的な金食い虫だった。

 ゆかしメディアでは以前にレポートを紹介したが、もう一度簡単にブガッティの主な開発などの経費を簡単にまとめると次のようになる。

研究開発費  12億ユーロ
設備投資費  2億ユーロ
その他設備費 5000万ユーロ
その他コスト 3億5000万ユーロ


 これは2005年から2012年までの累積の経費を見積もったものだが、トータルの総投資額は17億5000万ユーロ(約2400億円)にも上る。これを基に計算して、1台あたりの損失額を461万ユーロ(約5億70000万円)と見積もっている。

 シュライバー氏は黒字化する見通しについては語っていないものの、前モデルで知見が蓄積できたことで開発費が抑えられたこと、価格を値上げできたことという2点が理由として考えられる。
 
 フェラーリなども開発コストは年々、上昇する傾向にあり、スポーツカーブランドにとっては悩むところではある。ブガッティの親会社であるフォルクスワーゲングループ内でも、例外的にブガッティは開発費など経費については大目に見てもらっているとは言われているものの、早期の黒字化はやはり望んでいたところだろう。ブランドの維持とは本当に苦労続きである。

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