元村上ファンドのヘッジファンドが東芝筆頭株主に

 アメリカ子会社の原子力事業が巨額の損失を計上したことに端を発し、経営再建をめぐり揺れている東芝。
 その東芝の筆頭株主になったのは、旧村上ファンド出身者が設立したヘッジファンドのエフィッシモ・キャピタル・マネージメントであると、複数の報道機関が報じた。


Getty Images
 エフィッシモは、東芝の発行済み株式を8.14%保有した。東芝への投資目的は「純投資」であり、株価が貴重価値に対して割安であると考えており、「中長期的な企業価値の向上に伴う株価の値上がり益や配当を享受することを目的としている」と、ロイターの取材に対しコメントした。

 エフィッシモは「モノ言う株主」として有名だった村上ファンドの元社員、高坂卓志、今井陽一郎、佐藤久彰の3氏が2006年シンガポールに設立したヘッジファンドで、顧客はアメリカの基金を始めとする欧米の機関投資家が主であり、資本の最適化を目標としている。
 基本的な投資のスタイルは純投資、投資一任契約に基づく顧客資産運用であるとしているが、一部の企業に対しては経営陣への助言および重要提案といった「モノ言う株主」のスタイルもとっている。

 投資手法はイベント・ドリブン戦略で、企業の合併・買収、資産売却、自社株買い、非公開化などを通じて企業価値の創造を目指すとしている。
 川崎汽船や近畿車両、大阪製鉄、日東紡績の株式なども大量に保有。学研やリコーといった会社の株式にも関与している。

 元村上ファンド社員が株主になることで経営改善に期待する投資家の買いが入り、東芝の株価は大幅に続伸、一時は前日比10%高の228円と1カ月ぶりの高値を記録した。

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