「1・4」デイトレーダーが日本から消える日

 「板を見てトレードをする人は全滅するかもしれません」

 東京都内のある講演会でこう話したのは三空氏。日本株のデイトレードやCFDなどで2億円以上の資産を築いてきた著名トレーダーだ。この発言は、もっと平たく言えばデイトレーダーが市場からいなくなるという意味だから穏やかではない。

 こうした論調を作り出しているのは、今年1月4日から、東京証券取引所で採用される新システム「arrowhead(アローヘッド)」の存在だ。売買の約定速度が0.005秒という驚異的なスピードを誇るものだ。つまりデイトレーダーは「板」の厚みから他の投資家との意図を読み取る高度な駆け引きを展開する。そして、読み勝って細かく利益を抜いていく。ある種の職人芸でもある。

 2005年くらいまで、こうしたデイトレーダーが数多く活躍してきた。だが、アローヘッドの導入によって、上から下まで一瞬にしてすべての板が塗り替わる。考える時間はもちろんのこと、反射神経が介在する時間さえも与えられないのだ。東証に15分の1にスピードを落としたデモ画面もあるが、何せそれでも肉眼で数字を追うことができないくらいなのだから。

 では、このアローヘッド導入の経緯や、個人投資家にとってのメリット、デメリットについて詳しく見ていきたい。

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