中国の大富豪がいまさら古典を学ぶのはなぜか?

中国全土から大富豪が集まる秘密の塾

 お金持ちが抱く不安とはどういうものだろう?

 例えば、“財産を海外に移して利害があるかどうか?”“いかにして従業員の教育を行うのか?”ということかもしれない。果たして中国古典の中にはこうした不安に対する答えがあるのか、微妙ではある。しかし今、中国の大富豪たちの間では「古典を学ぶ」ことに多くの関心が集まっている。

 中国五大湖の一つ「太湖」に面する蘇州省呉江市。ここには中国各地から大富豪たちが古典を学びにやってくる“太湖大学堂”という私塾がある。門前に並ぶのは、みな高級車。私塾には様々な取り決めがあり、車を降りる前に注意事項が重々しく読み上げられる。

 「撮影、録音は不可。先生が登壇しても失礼にあたるため拍手をしてはいけない。また先生と記念撮影をしないこと…」

 太湖大学堂は、一般公開されておらず、個人の応募も受け付けていない。お金さえ払えば良いというわけではないが、塾で学ぶ人たちは超セレブ揃い。億万長者ランキングの10位以内に入っている富豪、有名な上場企業の社長、不動産大手の経営者、良く知られた家族企業の後継者ら。

 この私塾で古典の講義を行うのは「大先生」と呼ばれる92歳の老人。名を南懐瑾(なん かいきん)という。南氏が行う授業はどういった内容なのだろうか?

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