元アップルCEOスカリー氏、スティーブ・ジョブズ追放を後悔

 24日に米国や日本など5ヵ国でiPhone4を発売する米アップル。CEOスティーブ・ジョブズ氏の言動にもメディアの注目が集まっている。一方その頃、昔ジョブズ氏をクビにした男、ジョン・スカリー氏は何を思っているのだろうか。「Daily Beast」が、ジョブズ氏に今どんな思いを抱いているのか、スカリー氏にインタビューしている。「20年もスティーブと話していない。彼がCEOで、私がプレジデントだったなら、上手くいったかもしれない」などと、スカリー氏は当時を振り返った。

 ペプシ幹部だったスカリー氏は1983年、ジョブズ氏に口説かれてアップルCEOに就任。当初、2人は「Dynamic Duo」と呼ばれた良好なパートナーシップを築いていた。しかし1984年後半、ジョブズ氏のマッキントッシュ需要予測がはずれ、アップルは初の赤字を計上。経営不振の原因はジョブズ氏であり、彼が社内を混乱させていると考えたスカリー氏は、1985年春、彼をアップルから追放した。

 「私は20年ほどスティーブと話していません。」とスカリー氏は言う。ジョブス氏を追放することは当時全く非難されなかったが、今は当時のことを悔やんでいるという。「私たちが異なる役割を担っていたなら、スティーブと私の関係は破綻せず、上手くいったかもしれない。今思えば、多分スティーブはCEOで、私はプレジデントになるべきだった。」 スカリー氏はCEOの下であるプレジデントの立場になっても、役割を分担するべきだったとした。「それは早めに解決されるべき問題でした。本当に良い企業幹部なら、そういう選択ができて当然だった。」

 また、スカリー氏は自身がアップルのCEOを辞めた時、ジョブズ氏にアップルに戻るよう、言うべきだったという。「スティーブにそう言えば、アップルが低迷するのを避けることができたかもしれない。『ここはまだ君の会社だ。君がアップルに戻れるよう、方法を考えよう』、とね。なぜ当時それを考えなかったのかは、わからないですが……。」

 追放から約10年後、ジョブズ氏はアップルに復帰し、2000年にCEO就任。その後iPod、iPhone、iPadと大ヒット商品を生み出し、アップルは再び息をふき返した。この5月には時価総額でマイクロソフトを抜いている。

 今となっては、何がアップルにとって真の正解だったかはわからない。ジョブズ氏がそのままアップルに残っていたら、本当に2人が対立せず、上手くいったのかも不明だ。スカリー氏はジョブズ氏を追放した理由については、はっきり語らなかった。しかし25年も経った今、スカリー氏も様々なしがらみから解き放たれ、もう一度ジョブズ氏と話がしたいと思っているのかもしれない。

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