「ポアンカレ予想」解いた数学者、賞金100万ドル辞退

 米クレイ数学研究所は先週、数学上の最大の難問の1つとされた「ポアンカレ予想」を証明した数学者グレゴリー・ペレルマン氏(44)が、「ミレニアム賞」受賞と賞金100万ドル(約8800万円)の授与を辞退したことを明らかにした。

 「ミレニアム賞」はクレイ数学研究所が2000年に発表した、7つの数学の難問に100万ドルの懸賞金をかけた賞。ポアンカレ予想はこの1つで、同研究所は今年3月、同賞をペレルマン氏に授与すると発表していた。

 ペレルマン氏は辞退の理由の1つとして、ポアンカレ予想の証明には米数学者リチャード・ハミルトン氏の協力が大きく、彼の功績が十分に評価されていないことをあげた。また「辞退には多くの理由があり、決心するのには時間がかかった」と語っている。

 ペレルマン氏はロシア系ユダヤ人数学者。同氏は2003年にポアンカレ予想証明を発表し、 それを受けて世界中の数学者がその検証作業に入った。2006年になって同氏がポアンカレ予想を解決したことが証明され、数学界のノーベル賞と呼ばれる「フィールズ賞」に選ばれたが、今回同様辞退している。現在、ペレルマン氏は外界とのコミュニケーションを絶ち、ロシアで母親と静かに暮らしているという。

 ポアンカレ予想は1904年、仏数学者アンリ・ポアンカレが提出した数学の問題。その後約1世紀にわたって、世界中の数学者がその証明に挑んできた。

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