ケイマン諸島にも国税庁の目が

 租税回避地(タックスヘイブン)の一つであるケイマン諸島に、日本の国税庁が求めていた金融取引の情報開示への回答があったことがわかった。朝日新聞によると、9月29日までに複数の回答があったようで、ケイマン諸島からの情報開示は初めてだという。

 カリブ海に浮かぶ人口約4万人ほどの小さな島。だが、租税回避地となってからは、世界各国から多くの投資資金が流れ込んでいる。日本からも年間2兆円規模の投資資金が流れ込むほどになっていた。その多くは租税回避のためのペーパーカンパニーの設立を目的にしたものとみられていた。

 2008年には、日本からケイマンへの直接投資額は年間2兆円以上の流出を記録しており、日本の体外直接投資全体の17%を占めていたほど。

 だが、2009年が大きな転機となった。経済協力開発機構(OECD)がタックスヘイブンの国や地域に対して、監視の目を強化し、さらには必要に応じて情報開示を強く要求する姿勢に転換。ケイマンも情報開示をする必要に迫られた。

 日本とケイマンも、2009年に租税協定を締結。脱税情報の提供を受ける体制が整っている。そうした状況を受けて、日本企業の租税回避のためのケイマン諸島への直接投資が急減。2009年下半期は1兆766億円の流出超だったが、2010年上半期は485億円の流入超に急転換する現象が起きている。

 ケイマン諸島にも国税当局の目が届くようになっている。日本はこれから、他の国や地域との連携をより一層強化する方針で、さらに目を光らせていくだろう。

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