ゴールドマン・サックスが「金返せ」と言った投資

 著名ファンドマネージャーのフィリップ・ファルコン氏が率いるハービンガー・キャピタル・マネージメントの旗艦ファンドが、出資者たちから清算を求められている、とブルームバーグなどが伝え、業界に衝撃が走っている。

 報道によると、ゴールドマン・サックス、ブラック・ストーン、NYの退職年金基金などが10月にハービンガー側に対して償還を求めてきたのだという。

 ハービンガーは、次世代の4Gワイヤレス通信ネットワークの衛星に巨額の投資を行うのだという。しかも旗艦ファンドの総運用資産の80億ドルのうちの約40%にもあたる30億ドルを、その投資に充当するというのである。

 ファルコン氏は、この償還騒ぎをロイター通信に「a non event」とメールで否定している。しかし、実に大きな賭けでもあり、悪く言うと無謀な賭けでもある。2002年にローンチしたこの旗艦ファンドも毎年16%以上の成績を残してきていたのだが、今年は10月までにマイナス17%の運用となっているのだという。どうしたんだ?

 投資家サイドとすれば、今までどおり普通にやってくれれば十分儲かるのに、というのが本音ではないだろうか。一部にはファルコン氏の投資は「bet」と報じられたこともあり、危なっかしくて、見ていられないといったところか。

 ファルコン氏は、金融危機のやり玉にあげられ、2008年の米下院委員会にソロス氏、ポールソン氏らとともに出席し証言をした。2009年の年収でも8億2500万ドルで、年収ランキングでは10位にも入っており、世界でも指折りのヘッジファンドマネージャーである。

 この投資判断が、出資者に受け入れられていない模様。もちろん、投資の成否は現段階ではわからないのだが、今後の動向は、業界中が見守っている。

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