お金持ちのお金がなくならない理由

 お金持ちは贅沢な消費をしても、なぜお金がなくならないのか? その理由は簡単で、持っている財産や収入の額があまりにも大きいので、家族で食事やファッションを楽しむくらいの贅沢なら、全体の資産額に影響を与えるほどの出費にはならないため。お金持ちにとって本当に怖いのは、経済危機や必要以上に高いリスクを取った投資に失敗することだ。

 野村総合研究所の宮本弘之上席コンサルタントは、著書『お金持ちのお金はなぜなくならないのか?』(メディアファクトリー新書)の中で、お金持ちが贅沢をしても、お金がなくならない理由を徹底的に分析した。それによると、世間一般の人の「お金」と、お金持ちの「お金」には決定的な違いがあるという。

 たとえば浪費というと食事や旅行が思い浮かぶが、人間の食欲や体力には限界がある。つまり、一人の人間ができる浪費にも限界がある。したがって、せいぜい5人ほどの家族で贅沢をする程度であれば、財産を大きく目減りさせることにはならない。

 一方、たとえば時代の波に乗ったIT企業の経営者のような場合、財産の大半を自社株が占めているケースが多く、株価の急落は財産の急減に直結する。さらに、自社株を担保に金融機関から融資を受けているような場合、追加の担保金を要求されて行き詰ることも考えられる。

 このように、金融危機によって事業が立ち行かなくなった事業家についてはよく話題になるが、金融資産の評価額が減っただけで没落したというお金持ちの話はあまり聞かない。

 これは時代背景として分散投資の知識が広まったことや、現金も含めたポートフォリオを構築していることで、たとえば株価が急落しても資産が全滅することはないためと考えられる。もっとも「全額を株式で持っていて、それが半額になってもまた余裕がある」、というのが真のお金持ちかもしれないが……。

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