「筆談ホステス」早乙女由香さんがアプリ開発

 銀座の高級クラブで働く、「筆談ホステス」こと、早乙女由香さん(24)が、iPhoneアプリの開発に協力することが31日わかった。内容は、重度の聴覚障害者でもある由香さんが使う会話手段の一つ「指文字」。「指文字が広がることで、耳が聞こえる人と聞こえない人との距離が少しでも縮まってくれたら」と由香さん。障害を持つ身だが、社会に貢献できることに喜びを感じている。

◆参考:早乙女由香さんの半生◆

指文字を拡げたい


早乙女由香さん
 由香さんは、ほぼすべての音を聞くことができない。これは数万人に1人という珍しい重度の先天性の障害を持つ。人との会話では「筆談」「指文字」の2つを使う。それでも、1歳の男児を育てる母親、日本女子大の通信課程で学ぶ大学生、銀座の高級クラブで働くホステスと一人三役をこなすという、社会生活を送っている。

 銀座で働き始めてもう1年以上が経ち、すっかり銀座のホステスの顔となり、常連のお客さんも付いている。メディア出演も多くなり、アイフォーン用の指文字アプリ開発の話が、由香さんのところに舞い込んできたのだ。

 「手話の認識はすごくあるのに、指文字はまったく知られていないので、とてもうれしく思いました。わたし自身が、手話よりも指文字を主に使っているのですが、手話は分厚い辞書1冊でも足りないくらいの言葉がありますが、指文字は50個覚えれば好きなように会話できるのです」

 名詞、動詞など単語単位で表現するのが「手話」。それに比べて、「指文字」は文字単位での形のため、覚える形も少ない上に、細かな日本語表現も可能となる。だが、健常者の間でも手話の方が知名度は高く、指文字はあまり知られていないという現実がある。

 これがもっと広まれば、健常者と障害者の距離も近くなる。由香さんはそう考えた。

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